Day24:爪先
竜の
国のある程度大きな街になると、規模はまちまちだが大抵の場合、お金を払わずに本を借りることができる図書館が存在している。本は自分で買おうとするとそれなりに値の張る代物なので、こうして自由に借りることができるというのは非常にありがたかった。
ウィリアムとエドワードも図書館をときどき訪れている。トレジャーハンターの仕事の下調べのためだ。今回もとある魔法生物から採れる特別な素材の納品を依頼されたため、事前に生息地や生態を調べておこうと図書館にやってきた。
とはいえ、エドワードは本を探させても頓珍漢なものを持ってくることが多いので、実際に本探しをするのはウィリアムの役割だ。ウィリアムは魔法生物に関する本が集められた棚を見つけて、目当ての本を物色する。
(
……あ、あの本は当たりっぽいな)
本棚の少し高いところにある本を取りたくて、ウィリアムはキョロキョロと辺りを見回した。この図書館は本棚が非常に高く、ウィリアムの身長の二倍ほどもあった。当然、上の方の本を取るために踏み台や梯子が用意されているのだが、どうやら近くのものはすべて使われているらしい。
目当ての本は背伸びをすればギリギリ届きそうな高さにある。仕方なく、ウィリアムはつま先立ちで本に手を伸ばした。指先がわずかに本の背表紙に触れるが、あと少し届かない。
「くっ
……! いけ、ないか
……!?」
全力で身体を伸ばして本を取ろうとするウィリアムに、背後から影が覆いかぶさった。ハッとして確認すると、エドワードが後ろからウィリアムを見下ろしていた。
エドワードはウィリアムの指の先にある本に気づくと、そのままウィリアムの後ろから背伸びをして本を抜き取った。
ウィリアムはつま先立ちをやめて、恨めしそうに振り返った。背後のエドワードはいつも通りの様子で取った本を差し出した。
「はい。これが取りたかったんでしょ?」
「
……悔しい」
「え? なにが?」
「俺は別に、背が低いわけじゃないからな。お前が高いんだからな」
「
……オレ、君より小さくなろうか? それくらいなら
……」
「虚しくなるからやめろ!」
ウィリアムの声が思いのほか大きく響き、二人は職員の人に注意を受けた。エドワードはしょんぼりし、ウィリアムはバツが悪そうにしながら、二人で何冊かの本を借りて図書館を出ていった。
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