Day8:雷雨
滝のような豪雨が降っている。あまりの激しさで数歩先が見通せず、地面に水が打ち付ける音で隣の人の声もよく聞こえない。おまけに雷まで発生していて、空はひっきりなしに明滅と轟音を繰り返している。命の危機を感じるほどの雷雨だが、隣に立っている人の姿をした龍は、雨を浴びてびしょ濡れになりながらも涼しい顔をして空を見上げている。
「チンロンくん! さすがにこれ以上降り続くのはまずいんじゃない!?」
「
……でも
黄龍さまの指示だし」
「そこの川なんてあと少しで溢れちゃうよ!
黄龍さまもそこまでは望んでないと思うな!」
黄龍の
国の門番として国を守る役目を負った
四神、チンロンとバイフーがそんなやり取りをしている最中、ひと際大きな光と耳をつんざくような音を立てた雷が近くの木に落ち、大きな炎を上げ始める。チンロンは咄嗟に大量の水を魔法で集め、一気に浴びせることで消火した。少しの間、煙を上げる木を見つめたあと、チンロンはゆっくりバイフーの方を振り向いて静かに言葉を発する。
「確かに、これ以上は危険だね」
「止ませられそう?」
「まあ、僕が呼んだ雨だから」
チンロンはそばに浮かんでいる真ん丸の宝石
――龍玉のうち、青い
龍玉を正面に引き寄せる。
龍玉はすぐに光を発し始め、それと呼応するように段々と雨が弱くなっていった。やがて完全に雷雨は収まり、雲の隙間から太陽の光が差し始める。
光が収まった
龍玉を下げ、チンロンは心配そうに眉を下げながらバイフーに問いかけた。
「命令違反だって
黄龍さまに怒られるかな」
「
黄龍さまは優しい子だから、事情を話せば絶対に怒らないと思うよ」
「
……そうかもしれない」
「ささ、一緒に報告しに行こっか!」
この国の現・
黄龍はまだ幼く、国を災厄から守る力が完全ではない。そんな年若い
黄龍がまだ抑えきれない災いに対応するのが彼ら
四神の仕事だ。チンロンもバイフーも、重責を背負った小さな王を支えられることを誇りに思っている。雨が上がった
黄龍の
国の上空を、人の姿をした
青龍と
白虎が並んで飛び去って行った。
>前の話(Day7:ラブレター)
8≫
>次の話(Day9:ぱちぱち)
10≫
>目次へ戻る
1≫
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.