Day27:鉱物
ウィリアムが調整を依頼した短剣をじっと観察するシトロンの周りを、身体が氷でできた可愛らしい精霊のようなものが何体か飛び回っている。胸部と思われる部分にそれぞれ色の異なる宝石が嵌め込まれていて、キラキラ光って美しい。以前シトロンに尋ねたとき、あれはシトロンが作ったホムンクルスなのだと言っていた。胸部の宝石、もとい「
魔光石」を動力源として活動する魔法の人形。
「
魔光石ってその辺で採れるのかい?」
動き回るホムンクルスを目で追いながら、エドワードはふと沸いた疑問をそのまま口に出した。シトロンは少し考えたあと、確証はないといった様子でゆっくり話し出す。
「どこで採れるのかは分からないですが
……それなりにお値段はするのでたくさん採れる鉱物ではないのかな、と思います」
魔光石は魔力を宿しており、魔法が使えない人でも
魔光石の魔力を使って魔法を再現することができる便利な鉱物だ。だがやはりというか、自然の中で生成されることの少ない貴重な物なのだろう。
しかし後日、エドワードが工房で作業をしているクライドに
魔光石について尋ねると、返ってきたのは意外な答えだった。
「
魔光石は自然に生まれる鉱物じゃないぞ」
「え、じゃあ人工的に作られてるってことかい?」
「ああ。
魔光石は『命の石』だからな」
クライドが言った意味深な別名についてエドワードは詳細を聞きたがったが、小さな兄は知らない方がいいこともあると言って詳しいことは教えてくれなかった。しかし、隠されると余計に知りたくなる。
真白に聞いてみようか。一度知ったことは絶対に忘れないあの兄なら間違いなく「命の石」の意味についても知っているはずだ。
(エドのために言わなかったんだが、かえって好奇心を刺激しちまったか。ま、いい勉強になるかもしれねえな)
クライドは内心でひとりごちた。悪を許せないこの弟は、
魔光石の正体を知って一体どのように思うのだろう。文字通り命を結晶化して作ったこの美しい石を、どのように受け止めるだろうか。二人の他に誰もいない工房の棚で、並べて置かれていた一つの
魔光石がひとりでにコト、と音を立てた。
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