Day11:錬金術
妖精の
国には、錬金術師が営む武器加工屋がある。誤解のないように言っておくが、錬金術師が営む武器加工屋は
妖精の
国に限らず他の国にも存在している。だが数は少ない。なぜなら、錬金術師という存在が希少だからだそうだ。ウィリアムにそれを教えてくれたのは、その
妖精の
国の錬金術師の少女だった。
「錬金術っていうのは、地属性の魔法の応用なんです。地属性魔法で扱うことができる物質、たとえば砂や石、宝石、金属とか
……そういうものを、魔法を使って違う物質に変えるんです。もちろん、地属性魔法で扱える物質にしか変えられないです」
「へえ。錬金術って言っても属性魔法の領域なんだな」
「はい。だけど、地属性の適性があれば誰でもできるわけじゃなくて、素質と訓練が必要で
……訓練しても錬金術師になれない人の方が多いです」
私は運が良かったんです。そういってシトロンは作業台の上に置かれた石ころに手をかざし、美しい宝石へ変えてみせた。先ほどまでゴツゴツしたただの石だったその宝石は、甘い蜂蜜を集めて固めたようなキラキラしたオレンジ色をしている。自分がもし何も知らなかったとしたら、これがその辺の道端で拾った石なのだと言われて、果たして信じることができるだろうか。
「
……すごい力だな」
「そうですね。だから錬金術師は、錬金術を扱うことにとても大きな責任を負わなければいけないんです」
もし旅先で他の錬金術師に出会うことがあったら、本当に信用できる人物かどうか、よく見極めて下さいね。
シトロンの手元にあったはずの美しいオレンジ色の宝石は、いつの間にか形を失って真っ黒な砂になっていた。
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