Day30:色相
聖樹の森には色とりどりの花が咲いている。
真白は周りに咲いている花を眺めて歩きながら、前から興味があったのですが、と言って隣に浮いているローランドの方を向いた。
「
私たち
九宝を生み出した創造石は、生物の魂を取り出して花に変える魔法が使えるじゃないですか」
「そうだね」
「あれ、魂によって花の色が変わるらしいんですよ」
「そう」
「
私たちの花は何色になると思います?」
森の様子を観察していたローランドは
真白の質問を聞いて、意図を図りかねるといった様子で
真白を見つめ返した。だが
真白は特に何かを言う素振りを見せないので、ローランドは
真白の言ったことに訂正を入れる。
「
九宝に魂はない。だから花も咲かない」
「例え話ですよ。もし
私たちにも魂があったとしたら」
ローランドは首を傾げながら、さも当然と言った様子で返答する。
「
九宝としての色がそのまま花の色になるんじゃない」
「
私なら白、あなたなら青ってことですか」
「うん」
「まあ、やっぱりそうですかね」
真白はそう言って肩を竦め、ローランドを置いて森の奥へ歩いていった。ローランドは先を歩く
真白の後ろ姿を見つめながら、
真白の考えることはよく分からないなと思う。自分たちに魂がないのは
真白も知っているはずなのに、どうしてあんな例え話をするのだろう。考えたところで、ないものの色を確かめることはできないのに。ただ、なんとなく、
真白はこんなつまらない正解とは違う答えがほしかったのだろう、とは思う。
真白はたぶん、本当の自分とは違う、架空の自分の在り方に憧れを抱いている。
(
真白のそういうところ、少し人間みたいだ)
もし
真白が魂を持った本物の人間だったら、彼の魂の色は一体何色になっただろう。答えは分からない。目の前に広がる色とりどりの花のように、生きている者の可能性は無数にあるのだから。
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