DRRV11037
2025-08-19 14:09:28
55991文字
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DRRV:1章探索編

Shoot the Moon


Bグループ


な、何してるの?」

私の声に反応した昼間くんは、にぱっと笑った。

「あ!ヨツバじゃん。俺を助けに来てくれたんだネ?」
そう言いながら、彼の手首から手錠があっさり落ちた。

え?一瞬で外したの?

そういえば、桜衣さくらい昼間ひるまくんの才能は“超高校級の怪盗”だった。拘束を外すくらいはお手の物なんだ。

「そうだけど必要なかったみたいだね」

「うん!全然要らない。でもその優しさに心打たれたからコレあーげるっ。もえるゴミ箱に捨てといて」

にこやかに手錠を押しつけられた。

「え?こんなもの貰っても困

「ありがとうは?」

「ありがとう、ございます

「どういたしまして!お返しの品は無理せずゆっくりでいいからネ」

あ、厚かましい!?可愛い顔に似合わぬ厚かましさだ。しかも持ち主に失礼すぎる。
とりあえずその手錠は“超高校級の警察官”にして彼の双子のお兄ちゃん・桜衣さくらい夜深よふかくんに返却しておいた。

「ん、ありがとう。四葉さんも一緒に来るの?」

「うん。みんながよければだけど

受け入れてもらえるか自信のない私に、昼間くんはさも名案を思いついたかのようにこう嘯く。
「じゃあさ、このクスノキサンってやつ要らない?今なら手錠つき、ハッピーセットだヨ。」

そう言って“超高校級の研究者”の楠木くすのきさとるくんの背中を強引に押し出した。

「勝手にセット販売しないで」
とご本人が言うも、

「お、俺が言い値で買う!」
と夜深くん。

「ヤダ!駄目!」

収拾がつかなくなってしまった。
この双子は、本当に仲が良いみたい。

「うーん手錠じゃなくて、楠木くんに桜衣くんたちをつけた3点セットは売ってないの?」

今の状況をみるに……昼間くんは苦手な楠木くんを私に押しつけようとしていて、でも夜深くんは楠木くんと一緒に組みたがっている。楠木くんは誰とも仲良くなる気がない。そして私は、みんなと仲良くなりたい。
誰一人考えが一致しないので、私はおとなしく自分の意見を押し通そうとした。仲良くなるかならないかでいえば、私の考えが一番善いのは明らかだし。

「あるけど~………高くつくヨ?」

昼間くんは三日月色の瞳を細めてにんまり笑った。怪盗の“高くつく”ってどれだけ高価なんだろう?背中がひやりとする。

「ど、どれくらい?」
おそるおそる尋ねる。

「ドーナツ2個分くらい!」

予想とは正反対、あまりにも可愛らしい答えに思わず微笑んだ。

「なあんだ、ドーナツくらいならここを脱出してからいくらでも奢るよ。二人で分けて食べてね」

「うん!俺がドーナツで、夜深にはドーナツの穴をあげるネ」

「えっ!?」
それって虚無じゃ

この子いっつも俺にくれないんだ。もう慣れてるけど

あれ?な、仲良しかと思ったんだけど違ったみたい?二人の関係性は複雑だ。



簡単な話し合いののちに、探索場所は以下のように決定した。


なんてシンプルな言葉で済めばよかったんだけど、このグループはそうはいかなかった。

昼間くんのせいで「簡単」でもなければ「話し合い」にすらならなかったのだ。

「外~!!外がいい~~~!!!」

昼間くんが子供じみた喚き声を上げ、楠木くんの服の袖をぐいぐい引っ張って駄々を捏ねた。白衣が乱れきって、今にも脱げそうだ。

「分かった!!外だね。分かったから離してよ袖が伸びちゃうだろ、」

「やったーー!」
昼間くんは袖を離してあげないまま、元気に万歳をした。「ばんざーい!ばんざーい!」
楠木くんの澄んだ水色の目は死んだ魚のそれに変化しつつある。

「じゃー俺ら行ってくるから!」

目をまんまるにした夜深くんと片手を繋ぎ、もう片方の手は楠木くんの袖を引いて、元気のよいスキップで体育館を出ていこうとする。

「お、おい待てよ!?まだ何も決まって───」
榊くんが私たちを呼びとめる。

「そ、外だって!庭、庭にいるからっ」
私はかろうじてそれだけを言い残し、激しい疲労を感じながら追いかけた。



Aグループ(改瀬, 清忌, 小栄)→地下室
Bグループ(桜衣双子, 楠木, 四葉)→庭1
Cグループ(三品, 黒原, 形代)→庭2
Dグループ(裁門, 榊, 白跳)→果ての壁
Eグループ(天探, 釘山, 楸谷)→1階