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DRRV11037
2025-08-19 14:09:28
55991文字
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DRRV:1章探索編
Shoot the Moon
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「見てください!ゲームルームだって。」
改瀬さんは両開きドアの上の看板を指した。薄青色のネオンで“GAME ROOM”と表示されている。
私たちが見上げていると、改瀬さんは叫んだ。
「もっと驚いてください!ゲームルームですよ!?学校でッ、ゲームッ
…
!正気の沙汰とは思えません。」
改瀬さんはぐぬぬと気難しい表情を浮かべ、腕組みをしている。
「流石はコロシアイの黒幕、この底無しの怠惰と反知性!確実に何らかの法律に触れています!」
「Well
…
入ってもいいですか?」
呆れた清忌さんがドアに手をかけ、眉を吊り上げて尋ねる。
「はっ!いきましょう!最初の部屋、レッツ探索~~!!」
ゲームルーム
そこにはレトロな筐体がいくつか設置されていた。ここでなら、レースゲームもシューティングゲームもできそうだ。床に敷き詰められたフロアマットを、木の根とともに黒いケーブルの線が這っている。
「おお~
…
、小さなゲーセンですね。温泉旅館でこういう謎の空間見たことあります」
改瀬さんは試しにひとつ、近くにあった筐体で、操縦スティックを傾けたりボタンを押したりした。覗き込んで暫く待っても、暗い画面は何の反応もよこさない。
「電源入ってないんですかね?」
「そうみたいだね
…
」
その間、雑に並べられたカウンターとパイプ椅子の向こう側で、清忌さんは棚を物色していた。
「What the
…
」
清忌さんが呆然として、よろめくように後ずさりした。その頬は感嘆のあまり紅潮している。
「
…
き、清忌さん?」
「レナちゃん?重大発見でもした?もしかして出口とか!?」
小栄くんが呼びかけた。返答を待たずに駆け寄る。
清忌さんはにやけた口元を押さえた。
「
…………
Thank goodness, わたしタダで数トン分のゲームを手に入れちゃった
……
帰りにトラックを借りなきゃ」
「アンタイカれとるやん」
「ちょっと!人道を外れないでください!」
私は、あはは、と苦笑いで尋ねる。
「
…
清忌さんはゲームが好きなの?」
「もちろん。Oh, ちょうどこのソフトはお気に入りの一つ。」
清忌さんはパッケージを一つ取り上げると、微笑んだ。ちょっと覗き込んでみると、レトロなRPGのような表紙だった。
「
……
これ、素晴らしい反逆の精神のゲームなのよ。わたし本当にこの手の挑戦が大好き。面白いのは、価値観が普通とは反転しているところ。それが既存の価値観と戦う方法なのね。しかも、y'know ゲームなのよ、でも、ゲームの中で、ゲームなんかやめて電源を切りなさいって言われるの。」
清忌さんは微笑んだ。
「音楽も忘れられないの。このゲームは私に、静かで切ないクラシック音楽の一欠片を教えてくれた
…
」
「へぇ
……
そんな変わったゲームがあるんだね」
脱出に関する手がかりじゃないのは残念だけど、あんなに楽しげな顔で語られたら、つい自分まで微笑んでしまう。それに懐かしかった。自分ではゲームを全然しないものの、クラスメートとの会話を通じて少しは知っている。頭の中で眠っていた平凡で大切な日々が蘇るようだ。
「
……
緊張感がないですね、」
改瀬さんがわざとらしく溜息をつき、それから口元を緩めた。「ちょっぴり良い意味で。」
ふと、小栄くんの背後の扉が目に入った。部屋の奥には、赤と黄にデザインされた引き戸がある。
「ねぇ、この扉って、私たちが入ってきたのとは違う扉だよね?」
「そうですね!まだ調べてない場所になります。」
「Okay, 開けましょうか 。」
私は扉に近づくと、手をかけて、ゆっくり慎重に引いてみた。心臓は未知の空間をまえにドクドクと鼓動を早めている。ところが
…
「
…
鍵がかかっとるみたいやな。」
ちっとも開かない。決して軽くはない体重をかけてぐっと引っ張ってみても、引き戸が動く気配はなかった。
「悲しいね」と清忌さんが端的に言う。
「はい
…
また後で調べられるようになるんでしょうか?何の部屋なのか気になりすぎて、とても放っておけないんですけど。」
「も、もし、ここが本物の出口やったらどないするん?開かんってことはつまり
…
つまりそーいうことやろ?」
小栄くんは両手をぶんぶんと振り、扉をまじまじと見つめた。その目には少なからずの期待がこもっていた。対する改瀬さんは首を傾けると冷静に分析を述べる。
「いやぁ、出口ではないと思います。誰もが見つけられるほど分かりやすいところに脱出口を用意するとは考えにくいので
…
。」
「そっかぁ
…
そーやな。みはるんの言うとおりや。」
小栄くんは視線を落とした。それでもまだちらちらと扉を見つめている。出口の可能性が低いとはいえ、やっぱり開かずの扉は気になるよね。
「もし気になるなら、扉を開けるために、頭を使うといいわ」
「ほう?」
改瀬さんは、何か良い案があるのかと期待して見上げた。
「頭をぶつける。それで扉をぶっ飛ばす」
清忌さんが真顔で凄いことを言った。一瞬、その場の時間が停止し空気が固まる。
静止した改瀬さんが、ゆっくりと目線だけを小栄くんに向けた。
「ひえ~ッ、ご勘弁を!!」
視線に気づいた小栄くんはあたふた手をばたつかせ、大げさに仰け反った。
その滑稽な様子を見て悪ノリした改瀬さんがガバッと腕を広げると、彼は驚きのあまり飛び跳ねる。がばっ。ぴょこん。しゅばっ。ぴょん。カマキリとカエルの攻防戦を見ながら、清忌さんが控えめに咳払いした。
「Um、もちろんチェーンソーでもいい。」
その瞬間、私は清忌さんがどこまで本気なのか分からなくなった。彼女のマスクに覆われた口元から、意図や感情を読み取るのはひどく難しい。そこで私は、小栄くんの身の安全のために動いた。
「と、扉のことはさておき!他に調べられる場所はなさそうだね。そろそろ他の部屋に行ってみない?」
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