DRRV11037
2025-08-19 14:09:28
55991文字
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DRRV:1章探索編

Shoot the Moon



私たちが追いついたときには、昼間くんはとある建物の前で足を止めていた。

古く汚れた石造りの施設。背丈の低い一階建てだ。古錆びた鉄骨が剥き出しになった天井は、まるで肋骨のように薄気味悪い。

「遅いヨ~!怪盗サマが待ってあげるなんて、そうそうないんだからネ。」

昼間くんは私たちを見るなり子供っぽく唇を尖らせ、文句を言った。かと思えば謝る隙すら与えず、何事もなかったような調子に戻って、
「ここ入ってみていーい?」
と尋ねる。

楠木くんがマフラーを整えながら言った。
「いいけど、慎重にね」

「入口見つかった?」

夜深くんがぼんやりした声色で不思議なことを尋ねた。入口ならちょうど目の前にピンク色の扉がある。見落とすほうが難しい。

「どーしちゃったの?入口ならここにあるじゃん」

昼間くんもそう思ったようで、扉をとんとんと手の甲で叩いた。夜深くんはハッとする。

「あっ。楠木さんばっかり見てたから

もっと見るべきものが色々あるだろ」

楠木くんは呆れたように言った。

昼間くんは扉を開けると、そっと中に危険がないのを確認し、私たちに「行こう」の目を向けた。

対して夜深くんは横目でちらりと楠木くんを見ている。もう一度、ちらり。さらに、ちらり。それからぴょこりと彼に向き直ると愛らしい仕草でおねだりをする。

「おてて、繋いでもいーですかっ?♡」

「は?何オマエ、なんで手を繋ぐ必要があるの?」
楠木くんは困惑の目を一瞬向けて、まさしく路傍ですれ違った赤の他人の冷淡さで、すたすたと建物の中に入っていってしまった。

夜深くんの恋のアプローチはあっさり失敗に終わった。
同じ男性で、人を寄せつけないオーラを常々放っている楠木くんでは、あまりにハードルが高すぎる。

「くっ、惜しい。」

惜しくもなかったと思うけどそういうことは口にしないほうがよさそうだ。
私は古いピンク色の扉を抜けて、建物に入った。