DRRV11037
2025-08-19 14:09:28
55991文字
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DRRV:1章探索編

Shoot the Moon


購買部


天探さんが青い扉を開けると、そこにはアフリカの風を感じる異様な空間が広がっていた。
背の低い棚に小物がずらりと並んでいるのに混じって、コンガやキリンのオブジェが特に深い理由もなく飾られている。奥の壁に貼られた数枚のタペストリーは何を象徴しているのか皆目見当もつかないし、黒と赤でペイントされた怖い顔のお面は壁の最も高いところから私たちを睨みつけてくる。

「ぷっ、」釘山さんが吹き出し「皆さんの服装も相まって超カオスですね」と笑う。

確かに、白スーツやクラシカルなワンピースは明らかに場の雰囲気に似合わなかったし、釘山さん自身の奇抜なファッションも余計な混沌をもたらしていた。

「デザインやファッションに気を取られないでね。やるべきことは手がかりを探すこと。それだけよ」

天探さんがぴしゃりと言い、陳列物に目を走らせ、ときには実際にオブジェを動かしたりしながら狭い購買部を歩き回る。と、まもなく彼女はあるものの前で足を止めた。それは───奇の空間にあって一際浮いている、ネオン管に彩られたガチャガチャだった。

「何、これ。」
天探さんは上部の『MONOMONO』と書かれた小さなネオンのプレートを睨みながらそう口に出した。

「ガチャガチャだ!懐かしいなぁ、中学生のころちょっとハマってたんだ。鞄につける可愛いキーホルダーとか

明るい記憶が呼び覚まされて、思わず笑みがこぼれる。

「貴方、こういうものにお金出すタイプなのね……

天探さんが何とも言えぬ哀れみの眼差しを向けてきた。確かに、欲しいものが当たるとは限らないから、気が進まない立場も理解できる。

「良いじゃないッスか!こういう小さなものが楽しいんスよ。知らんけど」

……理解しかねるわ。なくても生きていける」

天探さんはミニマルな反論をした。

「お堅いっスね〜」釘山さんが冗談めかした言い回しでこう返す。「なくても生きていけるものって、ガチでなくなると生きてけないッスよ」

そこで私は思考を立ち止まらせた。釘山さんにも天探さんに対しても、何か話にずれが生じている気がして、心地の悪さを自覚したのだ。自分のことがうまく伝わるように、言葉を足して修正を試みる。

「景品自体が好きというより……友達と一緒にガチャガチャを回す瞬間とか、当たったものについて友達と話す時間が好きだったの。物を基点に話題を広げられる、というか。」

すると、ガチャガチャの前で暫し物珍しげに頭を近づけて見下ろしていた楸谷くんが、途端に嬉しそうに声を弾ませた。

「僕もお酒の味よりお酒が注文される瞬間の快感が好きです。僕たちおそろいですね」

それは……どうだろう……

天探さんはわざとらしく溜息をついた。
「私としたことが余計な時間を取られたわ。次の場所へ向かいましょう」

世俗の会話が面倒になったのか、彼女はそう結論づけると、ワンピースの裾を揺らしてすたすたと購買部を出て行ってしまった。