DRRV11037
2025-08-19 14:09:28
55991文字
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DRRV:1章探索編

Shoot the Moon



およそ30分後、私たちは倉庫を出て外に向かった。

必要な道具は一通り揃った。どこにでもあるスコップと、アニメの世界でしか見ない類いの巨大な電動ドリル、救急箱、そしてふかふかのマットを乱雑に積み上げた台車を押す役目は私が進んで担った。榊くんが「オレに任せろ」とかなり粘ったけれど、私が譲らなかった。

榊くんといえば、ジェンガの勝負は彼が勝ったみたい。
忘れてしまった才能の正体が“超高校級の保育士”なのではないかと疑うくらい、彼は白跳さんの扱いに長けていた。けれども勝負事で勝ちを譲るほどの遠慮は持ち合わせていなかったようで、白跳さんはしばらく悔しそうに口をつぼめていた。

空は一面硝子に覆われている。これに挑むなんて無謀じゃないかという恐怖と無力感も、私たちなら大丈夫だという不思議な自信が掻き消してくれた。

「ねーねー、『チャレンジ』ってまだー?」
白跳さんが尋ねた。もう40分以上前の話題をいまだに気にしてそればかりをあどけない瞳で尋ねてくる。

「あともーちょい。果ての壁に着いたら教えるから。」
そろそろ彼女の性質を心得てきた裁門さんが、振り向きもせずにそっけなく返すと、

「分かったー」と白跳さんは間延びした声を出した。

しばらく、私たちは静かだった。

「榊さぁ、あんときありがとね。」
裁門さんは誰とも視線を合わせないままそう言った。

「何のことだ?」と本人はきょとんとして、彼女の眩い金髪を後ろから見つめた。

ん〜、色々。」

裁門さんは直接言葉にするのを避けた。声が仄かに甘い。

代弁するように、私もお礼を言った。
「話し合いの司会をしてくれて……白跳さんと遊んでくれてありがとう。榊くんはいつも全体を見て、何が必要なのか考えてくれてるよね」

「へッ?なんつーか照れるな!?」榊くんの声は明らかに弾んでいる。

「あ、それで言ったら、裁門こそ色々意見出してくれて助かったぜ!それに、今やれてるのは四葉が傍にいるおかげ。二人ともサンキュー!!」
榊くんは大きな口で笑みを見せると、そうお礼を返した。

「凄かったよねー。ぱああってしてたなー」

白跳さんにも伝わっていたらしい。その擬音語は分からないけれど……榊くんは、お日様の光が辺りに広がるように、周囲の心を勇気づけてくれる。そんな人だ。