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アスナショウコ
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【創作|馬軸】春雷-極光
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【創作|馬軸】春雷 芽吹- 春の嵐
※支部からの移植版です。文面そのままです。第一話~第三話までのクラシック編。
Attention
・この作品は競走馬とそのジョッキーを中心に描いていますが、実在する団体とは何の関係もない創作作品です。
・実際の競馬に関してわからない部分は調べていますが、事実と異なる点やありえない点もあるかと思います。そこについては創作だと割り切ってお楽しみいただければ幸いです。
・実在する競走馬をモデルにした競走馬が登場します。名前がもじってある場合があります。
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競馬学校時代から、白綾后子と瀬川迅一の二人は対照的だった。
かたや貧乏なうえに片親で借金まみれ、乗馬クラブに所属しているわけもないド素人。かたや祖父・父で二世代ジョッキー、常日頃から馬に触れあってきた騎手界のサラブレッド。競馬学校の入試でその二人は目についた。
他の受験者からも頭一つ以上とびぬけた高身長。だが彼女が纏うのはどう見てもおさがりの、ぼろけた中学校の制服とカバン。金色の少しうねった髪を適当にくくり、緊張しながらも馬と触れ合う姿はどこを切り取ってもド素人に映った。
試験教官たちは彼女を鼻で笑っていた。そうして本当に合格ラインギリギリで騎乗試験をパスした女生徒こそ、当時の白綾后子の姿であった。
これに対する瀬川迅一といえば、筆記・騎乗・面接__どれをとっても完璧の一言に尽きる試験成績で合格し、競馬学校在籍中も当然のようにトップを走り続けた。幼い日から馬に関わってきたのだ__馬の扱いにも慣れている。教官が彼に求めることはまるで、調教師が本物のジョッキーに求めることのようだった。
優等生。望まれた騎手。天才。
瀬川は競馬学校時代から脚光を浴びた。卒業試験的催しである模擬レースでも当然のように勝つ。
卒業後史上最速でクラシック三冠を達成。そして翌年牝馬レースの桜花賞路線でトリプルティアラを達成。信じられない快挙だった。
だが、瀬川迅一はずっと何かを待っているような気がする、と誰かが言った。
もう十年近く前の事である。瀬川迅一と白綾后子が競馬学校に在籍していたころのこと。二年目とあって当然、馬をトップスピードで走らせる実践的な授業も増える。
その中でたった一度だけ__白綾后子が瀬川迅一に勝利を収めた雨の日の模擬レースがあった。
后子にあてがわれた馬は、最近まで競走馬として活躍していた牝馬だった。まだ繁殖にするのははやいから、という理由で異例ではあるものの競馬学校で練習用にと連れてこられたのだ。その馬の名は「スイングウィズミー」という。栗毛の牝馬である。
奇妙な縁だが、この馬はロジェールマーニュの母馬となる馬だった。
「
……
い。おい、迅一。
……
迅一。いつまでぼけっとしてんだ。始まんぞ?」
「すみません。
……
少し、昔のことを思い出していました」
「競馬学校のころか? あの頃の白綾つったらしょっちゅう落馬してたもんなぁ。絶対才能ねえと思ったのになんだ今の結果
……
」
微妙な空き時間が出来た瀬川に北海道競馬を見に行こう、と誘ったのは、競馬学校時代の教官だった。瀬川の横に立つ彼はそう言って面白そうに笑う。
彼は現在美浦トレセンで調教師を務めているが、こうして時折会うこともあった。競馬関係者席にいる二人は、そこからのんびりとメインレースを眺める。
瀬川はその言葉に対して何も言わず苦笑するにとどめた。事実だったから__白綾はスイングウィズミーによく落とされていた。おかげでめちゃくちゃ受け身が巧くなり、「なんやねんおどれ!! いてまうど!!」とキレていたのを覚えている。
「白綾は、いや、でも少なくとも俺は、白綾に勝てていません」
「ここ最近だもんな。あいつがGⅠに出だしたの。まぁ〝乗せてもらえんかった〟が正しいんだろうが仕方ない。成績が振るわん騎手に手綱を握ってほしいとはだれも思わんさ」
「教官は、今でも
……
そう思いますか」
「教官は止せ。もう辞めた。さすがに今は思ってねえよ。__正直、あいつの執念には恐れ入った。だが
……
」
瀬川は言葉を切ったことに疑問を覚えた。だがその先は言われることは無い。教官が飲み込んだ言葉はどこへも行かず、彼の口内で苦い味を広げていく。
「あーっ!! 負けてんじゃねえか!!」
「あ、あれ
……
?? 調子良さそうだったのにな
……
」
瀬川は苦笑いして言った。馬券買わなくて良かった、と思う。下のアリーナではハズレ馬券の阿鼻叫喚であった。
(
……
だが、きっと白綾はあと数年でいなくなるぞ、迅一)
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