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アスナショウコ
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【創作|馬軸】春雷-極光
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【創作|馬軸】春雷 芽吹- 春の嵐
※支部からの移植版です。文面そのままです。第一話~第三話までのクラシック編。
Attention
・この作品は競走馬とそのジョッキーを中心に描いていますが、実在する団体とは何の関係もない創作作品です。
・実際の競馬に関してわからない部分は調べていますが、事実と異なる点やありえない点もあるかと思います。そこについては創作だと割り切ってお楽しみいただければ幸いです。
・実在する競走馬をモデルにした競走馬が登場します。名前がもじってある場合があります。
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『
……
遥かなる道を超え、世代の頂点へ。
すべてのホースマンが目指す頂点、東京優駿__日本ダービー!
____本馬場入場です!』
日本ダービーの舞台は五年ぶりだったが、もうあの時の私とは違う。私はあの五年前のダービーで走る前から負けを確信していたが、今日はそんなことは考えていない。
つか走る前から負けると思うのは馬に失礼やろ。いかに今までの私が迷走しよったか、それだけやなくてまぁ賞金の収入に依存する騎手という仕事上勝ちがなければ貧乏決定なわけで。豆苗育てたりしよった。今もしてるけど。豆苗ほんまに美味しないからなぁ
……
寿司食べたい。一貫でええから。食べたとして何年ぶりやろか。
寿司は置いといて、この日本ダービーという舞台に再び上がれたのは、ここまで来れたんは私一人の力やない。私とロジェはちょっと遅かっただけ。まぁ遅咲きやなんて自負はあれへんけど、ロジェはこっからぐんぐん伸びる馬。
ダービーという『最も運のある馬が勝つ』舞台で、運に見放された私と運を掴みきれなかった馬が挑む
……
なんて言うんやろ。
「白綾!」
「瀬川。調子良さそうやね、フジサワコネクト」
「追い切り見てたのか?」
「嫌でも見てまうがな。同じトレセンにおんねんから
……
それに坂路コース使てたやん」
「あれ? そうだっけ
……
? ロジェールマーニュいた?」
「自分ほんまにそういうとこやで」
そういうとこってどういうとこだよ!? と嘆く瀬川を横目に、私は早よ行きや、と急かす。瀬川騎乗のフジサワコネクトは三枠五番での出走である。前を行く栗毛の馬を見送って、フジサワコネクトは歴戦の調教師に引かれながら地下馬道の坂をゆっくりと登っていった。出口に向かうたび歓声が大きく聞こえる。
五年前も見送った。ターフでは先頭を走る馬の背を見ているしか出来なかった。だが今度は、そうはいかないしいかせない。どの馬の追随も許さない。影さえ踏ませてなんかやらない。
ダービーを勝つのはロジェと私だ。
……
誰も、誰もロジェールマーニュの前を走る事は罷りならん。
一瞬だけ手綱を引いていた渚ちゃんの表情が恐れに塗られた。ロジェの背に乗ったまま、上体を下げてどないしたん? と聞けばすぐにいつも通りの顔に戻って、何でもないです、と花のように笑う。
私はロジェを撫でながら考えた。ダービーという舞台。誰もが思い願うホースマンの夢。国美さんも渚ちゃんも馬を送り出すのは初めてで、緊張しているのが嫌というほど伝わってくる。だが同時に楽しみにしてるんやろな、と思った。ロジェがどんだけ早く走れるか。
坂路コースでは追い切り自己最速を更新した。ロジェがどんだけの差をつけて勝つか。皐月賞では四馬身と二分の一をつけた。だからきっと、ダービーも。その思いは人気となって現れている。二人の期待と観客の期待は同じ熱量だ。
「国美さん、渚ちゃん
……
私
……
、一番人気の馬に乗るのは初なんよね。やから
……
」
「おおおおおう。きっ
……
気張れよ! 后子さん!」
「めっちゃ応援します!! 頑張ってくださいね!!」
「いや最後まで聞いてや。二人をダービートレーナーにするさかい、瞬きせんと見とってや」
今までの競走成績からは考えられない程に自信満々な言葉がするんと口から出た。ロジェはその言葉に応えるように鼻を鳴らした。耳は相変わらずぴこぴこと動くがどっしりと落ち着いている。
地下馬道の出口__そこから降り注ぐ陽光が私たちを照らす。いい天気だ。澄み切った青空と、良馬場となった芝が目に入る。国美さんと渚ちゃんが手綱を外す。それを合図にロジェは走り出した。私は軽く手綱を握って、待避所までロジェを走らせた。
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