幸せの森のお話集

10年以上前に一年間ほど書き続けた、ハッピーツリーフレンズの二次創作集


 
はるのおめざの話
 
 冬の間のフリッピーは眠たそうで、ちょっと変で、時々ふさぎこんだりするし、きっと眠ったら眠ったで悪い夢にうなされている。
そんなフリッピーに何もしてあげることが出来ないのを、フレイキーはとてもとても悲しく思っていた。
でも今年のフレイキーは今までのフレイキーじゃあない。
「よしっ」と小さな手を握りしめて、思いっきりの勢いでドアを開けて呼んだ。
「フリッピー!」
勢いをつけて、ぽん、と飛び乗る。
けれど、フレイキーぐらいでは、ベッドの上のこんもりした山はびくりともしない。
てっぺんによじ登ってまたがってゆさゆさ揺すぶってみる。
「春だよ、起きようよ」
雪だって大分なくなったし、ちょうちょも飛んでるし、お花だってさいてるんだよ。
するとふかふかの毛布の下から、小さな声で、
……フレイキー、うるさい」
「うるさくないよ」
あ、聞いて聞いて。
「ボクね、背がちょっとのびたんだよ!」
山が動いてむくりと起きた。
うわぁ、と声を上げてずり落ちないようにしがみつく。
見上げると、ほとんど寝たままみたいなフリッピーの顔があった。
髪だって寝ぐせだらけのぼさぼさだ。
……ほんとう?」
「ほんとー!」
フリッピーのお腹にしがみついたままで、にこにこ笑う。
「小麦粉の棚にね、台がなくても手がとどくんだもん」
それはすごいねー、とやっぱりまだはっきりしない声で、それでも笑って撫でてくれる。
でもすごいのはこれからだ。
「だからね、ボク一人でクッキー作れたよ」
今までは、材料とるのとか、オーブンに入れるのとか出すのとかは手伝ってもらってたけど。
全部一人で出来るようになったんだ。
「フリッピーが起きてきたら、いっしょに食べようと思って!いっぱい作ったんだ!」
だからね、これ持って、お外に行こうよ。
イヤなことも怖いことも、楽しいことの方がいっぱいあったらきっと忘れられると思うので。
冬の間の怖いのに、春のお日様と一緒にバイバイしよう。