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浦山野あずま
48925文字
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二次創作(その他)
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幸せの森のお話集
10年以上前に一年間ほど書き続けた、ハッピーツリーフレンズの二次創作集
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こじらせた話
黒づくめの男(いや、女?フレイキーとは違う方向でどっちなのかが分からない)が去っていく。
スニッフルズは膝を抱えて座り込んだままでその背中を見送っている。というより睨みつけている。
そして不味いものを吐き出したみたいな声で言った。
「絶対に殺してやる」
スニフは真面目だから、声に出してまで言うこの殺意は本気なんだろう。
でもさぁ、スニフ。
「アイツ、殺すん?食べんじゃなくて?」
だってアイツってアリじゃん?スニフの好物じゃん?つまりマイハニーなんしょ?それ殺しちゃうの?ていうか殺してもったら食べれんくない?
機関銃のごとく捲し立てながらもナッティの目線は手元のゲーム機から外れないし、口の中にはフィアンセ2197号のミルクチョコレートが納まっている。
ナッティとしてはアリなんて甘くなさそうだから別に食べれなくてもいいと思うけど、スニフにとってはごちそうだ。
それを食べずに殺してしまうなんて、ナッティにはこれっぽっちも理解できない。
聞きながらも分かる気はないナッティに、スニフは言う。
「前提が違うよ、ナッティ。殺しちゃったら食べられないんじゃない。殺さないと食べられないんだ」
生憎と僕のランチは君のと違って生きてるからね。
なるほど、そういうものなのか。
ナッティのハニー達は、ナッティをその身でもって(主に糖尿病的な意味で)殺すことはあっても自身が死ぬことはない。だってお菓子は生きていないのだから当然で、つまりナッティの愛とスニフの欲は根本的に次元が違うのだ。
次元というのは重要で、ゲームの中の平べったい主人公と現実の中の縦横奥行きを持ったナッティが通じ合うことなんてまずあり得ない(死んでも何事もなく生き返ると言う点は同じなのに)。
「なんならさー、おれさまが代わりにプッチリぶっちりツブしてきてあげよっか?」
おれってばスニフよりは死なせちゃってる方よん?と言いながらナッティが掲げるゲーム機の中では、敵の撃破数が1000を超えた主人公が勝鬨をあげている。
ほぉら、おれさまさいきょー、と笑うナッティにつられて、スニッフルズも「あはは」と笑い声をあげた。
「ナッティにつぶされちゃったら、食べるところも残ってなさそうだなぁ」
いいよ。自分でやるから。結局は自分の食欲の問題だからね、と言うスニフはやけに悟ったような穏やかな顔つきだ。近いうちに、またヤツらに挑んで死ぬんだろう。
奴らはそれこそ軍人さんが入ったフリッピーさんぐらいに凶悪だから、ナッティまでわざわざ殺されるようなことしなくてもいいよ。ああ、でも、言ってくれただけでも嬉しかったかも。
「ありがとう、ナッティ」
これはなんだかまるきり遺言みたいだ、とナッティは思った。
(でも、おれ、スニフのことはハニーたちの次ぐらいに好きだから、そんぐらいはいくらだってしてあげんのに。)
そう言ってやりたかったけれど、口に放りこんだフィアンセ2198号の巨大飴玉が大きすぎて、まともな言葉にはならなかった。
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