幸せの森のお話集

10年以上前に一年間ほど書き続けた、ハッピーツリーフレンズの二次創作集


 
こわいものはこわいとなく話
 
 なんだってこんな面倒くさいことになってるんだ。
俺にしては珍しく真剣に自問してみたが、それこそ答えがあるはずがない(そもそも普段のアイツとの会話だって自問自答か自問他答か他問自答かよく分からん)。
俺の頭のを膝の上に抱えこんで、チビがびぃびぃ泣いている。うるさい。
頭の一つでもハタいてやりたいところだが、手足をやられた。
さすがに根元からイカレたものはどうにもならない。くそったれ。
原因はランピーだ。アレを敵軍に潜り込ませたなら、俺以上に出来のいい殺戮兵器になっただろう。その場合、是非とも俺達とは違う小隊にして欲しいもんだが(アイツが巻き込まれて死んだらどうしてくれる!)。
思考が割りと明後日の方向に行きかけたが、鈍い痛みとかん高いガキの泣き声で現状に引き戻る。レクイエムにしてはうざったい。
……おい、チビ」
それなりにはっきりと声が出た。咽は無事か。
まあ、じきにくたばるんだから、それぐらいのこと大した意味もないか。
チビは「うん」だか「はい」だか応えたらしいが、嗚咽で判り難い。
「うるさい。死ぬ時ぐらい静かに死なせろ」
「やだぁ」
今度ははっきりと応えた。応えたはいいが、回答が不合格。
チビのクセに俺に逆らうとはいい度胸だ。
……チビガキ」
「フリッピーが前に言ってたもん!」
死ぬ時に、誰かに見送ってもらえたら、怖くないかもなあ。
ああ、確かに言った。言ったが、「それを言ったのはアイツだ。俺じゃねえ」
だから俺が死ぬ時は関係ない。大人しく家に帰って毛布でも被ってふるえてろ。
……フリッピーは軍人さんもそうだろうって言った」
畜生、結局アイツの差し金か。最近、無駄に俺にまで甘いんだよ!
このチビは意外に強情な質で、アイツが絡むと更にこじれる。
いつもなら力ずくでどうにかするが、悲しいかな俺は動けない。
諦めた。戦場では、引き際が後の勝敗を分ける。
「だったらせめて泣くな、うるさい」
「だって、怖いのは怖いよぉ!」
軍人さんとふたりぼっちなんて無理だぁ!
クソガキが。次に会ったら(手足が動かないんだから、今は無理だ)、その間抜け面がどこまで横に伸びるか泣くまで引っ張ってやる。
ついでに、あの世でアイツも同じにする。
チビに俺とかムチャぶりすんな!