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浦山野あずま
48925文字
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二次創作(その他)
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幸せの森のお話集
10年以上前に一年間ほど書き続けた、ハッピーツリーフレンズの二次創作集
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こじらせてくいちがった話
世間は暑い。なぜならば夏だから。
こんな最中に外にいたら、多分ミイラになって死ぬ。
ミイラまでいかなくても熱中症で死ぬ。
一昨日、カドルスがそれで死んだと言っていた。
だからナッティはスニッフルズの家にいる。
スニッフルズは本を読んだり実験したりして、ナッティはお菓子を食べながらゲームをする。
やってることは内でも外でも変わらない。でも外と違って家の中は涼しい。エアコン万歳。
持ってきたお菓子を粗方腹に収め終わって、ナッティは分厚い本に没頭中のスニッフルズににじり寄る。
「スニフぅ、おれさま、アイスちゃん食べたーい」
「却下」
ナッティの要求からスニッフルズの拒絶まで一拍もない。きっと一瞬だって迷ってない。
「えー!?なしてよ?」
「今日のアイスクリームショップの店員はランピーだから」
死ぬよ、とスニッフルズは当たり前のことだと言い切る。
1+1の答えよりも簡単な式。自分達+ランピー=死亡。世界の真理がここにある。
ナッティはお菓子狂いだけれど基本的には年相応の頭があって、死亡フラグだってちゃんと承知している。
でも恋は人を狂わすものだから、結局お菓子(+死亡フラグ)を選んでしまう。
それについてスニッフルズは「まあ、価値観は人それぞれだけど」と少し諦めている。
ナッティと分かり合おうなんてまず不可能だし非合理的だ。
そして今日もやっぱりナッティは恋に狂ったジャンキーであって、愛するアイスクリームを諦めて堪るかと更に距離を詰めてスニッフルズに後ろからしがみつく。
「別にアイスちゃん食べれんだったら、死んだっていいしぃ」
何を言ったってふざけて聞こえるナッティだけれど、この言葉が正真正銘真実に思っていることなのだから始末におえない。
アイスぐらいのことで死なれるなんて、僕がよくないんだよ、とどうせ通じないと思いながらも言ってみる。
言ってみても案の定で、ナッティは「なに言ってんの、この人」と言わんばかりの表情だ
「なによー?スニフってば、お菓子ちゃんらよりおれの方が好きだったりすんの?」
色々とそういう問題じゃないのだけれど、確かにどちらが好きかと訊かれたならば。
「そうだね。ナッティの方がよっぽど好きだよ」
スニッフルズは(蟻についての場合を除いて)非常にまっとうな価値観を持っているので、当然、アイスクリームより友達の方が大事だと思う。だからこれはスニッフルズにしてみれば、特に迷うこともない当然の解だった。
そのはずなのだけれど、何故かナッティは「うわぁ
……
」と呟いて床に崩れ落ちた。
そのまま顔を両手で覆って、ごろんごろんと床を転がり回る。
え、ちょっと、なんなの、と気味悪そうに呟きながら、スニッフルズは若干身を引いた。
「ナッティの頭のネジが緩いのは基本というかナッティがナッティたる大前提な要素だけど、いきなりのた打ち回られるとさすがに僕も引くよ」
「
……
スニフ。おれのとっときのチョコ、食べる?」
「はぁ!?」
己の耳を疑った。
今、ナッティは、なにをくれるって言った?
スニッフルズはえらく長いことナッティと友達であるけれど、お菓子を薦められたのは初めてだ。誇張でも気のせいでもなく、正真正銘の初体験。
この貴重な初体験の感想を一言で表すと、
「
……
気持ち悪いなあ」
更に身を引きながら呟くと、だってぇ、とナッティが身を捩りながら言った。
「あんなキョーレツな愛の告白されちゃったらさあ」
ちょっと待て。
「愛の告白って、誰が誰に」
「スニフが。おれに」
スニッフルズは、いつだよ、と叫んで部屋の隅まですっ飛んで逃げて頭を抱えた。幸いなことにスニッフルズの記憶力はかなり優秀だ。ここ十数分程度のやり取りならほぼ完璧にリプレイしてくれる。
遊びにやって来てめいめい好きにすごしてアイスクリームが食べたいと言い出して却下して。この365日ほぼ毎日しているやり取りの中の一体どこに
……
。
そこで、スニッフルズはハタと気付いた。
さっき、自分は何と言った?好きと言った。ナッティを。『お菓子より』よっぽど好きだと。
「それか!!」
スニッフルズは痛感した。正直、舐めてた。ナッティの中のお菓子の地位の絶対さを舐めてた。
普通の神経を持った者なら、大抵の友達はお菓子よりも大事だろう。
しかしナッティは違う。お菓子が全ての頂点にある。TOPだ。天辺だ。
そのお菓子よりも好きだと言うことは、つまり、ナッティ的には森羅万象全ての中で一番好きだと言われたようなものなのだ。
それで、この反応。結論に至ったと同時に、スニッフルズは頭痛を覚えた。
「ナッティ!きみ、本当に安いな!」
こいつ、僕がついてないと、絶対いつか変な女に引っ掛かる!
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