河童の皿箱
2025-04-02 09:27:13
53202文字
Public 遊戯王:長め
 

その男は、能楽師であった。

あるグループがグループになる前、昔の話。
※捏造の濃度が高い。



 荒波は年明けの僅かな間だけ凪いで、小舟の上でもまた、休息がやってくる。
 小舟の上で眠る3人の内側には、いつしか小さな小さな世界が生まれていた。

 磯と、滝と、そして川がある。
 滝は、大量の水を注ぐ。
 磯は、水を溜め広がる。
 川は磯と滝を繋ぎ、水を運び続ける。

 滝に巣食う蜘蛛は、その手で技術を操る。
 磯に横たわる龍は、今か今かとその時を待っている。
 川を遡る鯉は、ただただ実直に泳ぐ。泳ぐ。

 年が明ける。また世の荒波はうねり、小舟を大きく揺るがす。
 それでもなお、鯉は泳ぎ続ける。鯉の起こした小さな波が、滝へ、磯へと。
 龍と蜘蛛は波を享受し、また新たなものを産み出した。

 蜘蛛は理想を現実にし続ける。
 龍は得た現実から新たな手段を模索し続ける。
 鯉は得た手段を検討し、さらに泳ぎ続ける。

 水が流れる。なおも泳ぐ。そして波立つ。
 朝日を受けて、夕日を受けて、月明りを受けては、水は煌めく。

 煌めく世界は、その輝きを増していく。