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紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public
リオヌヴィ
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1000字くらい作文詰め合わせ
短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)
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指輪の話
リオセスリ殿、と呼ばれたので、不備でも見つかったかと立ち上がる。机を回り込み、同じ方向から書類を覗き込むべくその隣で身を屈めた。見ようによっては腕の中に閉じ込めようとする意図を勘繰られそうなこの体勢は少々ビジネスパートナーとしての適性距離を逸脱するが制止や不快を表す言葉が飛んでこないことに、ヌヴィレットの中に用意されたつがいの席に掛けている事実を噛み締めて少しばかり浮つく気持ちを押し込め目を落とした書類にはずらりと数字が並んでいる。
「どこか気になるところがあったかい?
…
ヌヴィレットさん?」
やってやれないことはないがこの距離を許されているのだ。わざわざ逆さまの数字を読むよりもこの方が効率がよかろうと聞く姿勢を作り彼の言葉を待つも、次のそれが一向に飛んでこない。もしかして見ていた場所がわからなくなったのだろうか。数字だらけの書類ではままあることだとその名を呼ぶと、何故かヌヴィレットは吐息で笑う。
「うむ
…
いや、すまない、その、
…
嬉しく、なってしまって」
ぽそり、落とされた言葉に書類から逸れている視線を追えば、机の上に並ぶ左手がふたつ。同じ場所に収まる銀の輪が、午後の光にやわらかく輝いていた。
指輪を贈り合ってからリオセスリが会談の相手であるときはグローブを外すようになったヌヴィレットの意図を直接尋ねたことはないが、ふとした時に己と彼の左手を見比べてはそれはもう愛らしくも控えめに微笑むのできっとそういうことなのだろう。白い小指からすりと己の親指に体温を伝えられるのに心臓が引きつるような心地がして、左手を絡め取るようにしてその肩を引き寄せた。
「邪魔だな、椅子」
こめかみに寄せた唇で呟けば、身じろいだヌヴィレットが身体をひねって右腕を伸ばしてくる。
「ん
…
ふふ、確かに邪魔だ」
望まれるままに合わせた唇をほどいた先で融ける美貌に聞こえた何度目かの恋に落ちる音に、触れあった二つの指輪がちりりと華を添えた。
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一生幸せでいて欲しい
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