紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public リオヌヴィ
 

1000字くらい作文詰め合わせ

短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)



つがいたるものこれくらい


 吐き出した息が白く凍って空気に広がる。仮初の雪山で、ヌヴィレットは雪の舞い落ちてくる空を見上げていた。
 時折吹く風に枝から雪が落ちる音や下草の囁き以外に周囲に音はない。全てが積もった雪に吸い込まれているようだ。
 そっと両の手を擦り合わせる。下がっていくばかりの体温を少しでも繋ぎ止められればと考えての動作だった。そろそろ移動せねば凍えてしまうだろうか。ここから一番近い熱源はどこだったか――
「捕まえた」
 震える肩を抱き込むように、寒風を遮るように身に回る腕と、ぴたりと背に沿う温もり。耳朶に触れた唇から吹き込まれる甘い低温に背筋が疼いて、幾度目かの負けを悟った。
また捕まってしまった」
 今回はそこそこ『いい線』を行っていたと思ったのだが。むうと呟くと、背後の温もりがくつくつと笑う。進歩はしてると思うよ、といいのか悪いのか判断に悩む講評をくれたリオセスリの手がヌヴィレットのそれを包むように握り、ふう、とその吐息がグローブを撫でた。
「適度に移動を重ね、周囲に合わせた隠形をし、熱源には近づきすぎないようにしていたのに、何故君は容易く私を見つけるのだ」
 こぼれた声音にはどうにも不貞腐れたような色が乗ってしまって、年甲斐もないと羞恥が湧き上がる。
「“犬”としちゃ、飼い主の居場所くらい見つけられないと――
……
っていうのは冗談で。“狼”だからな。大事なつがいのいるところくらい見つけるのは簡単さ」
 湧き上がった羞恥が不愉快に塗り替えられて、淡い歓喜がそれを覆う。ヌヴィレットの情緒が忙しなく彼方此方へふらふらしている間楽しげに肩を揺らし、ついでに頬を擦り寄せて温もりを分けてくれるリオセスリの体温に浸りながらふと気づいた。
「リオセスリ殿」
「ん?」
「その“この”宣言の仕方には、些か問題があるのではないだろうか」
 この遊戯のルールでは、『ハンター』は衣服や身体のどこかに触れて「見つけた」「捕まえた」と宣言することになっている。目前での逃走を防ぐ目的もあるのかもしれないが、自分以外の誰かがその腕に囚われて耳元にテノールを落とされるのは少しばかりいや、とても、すごく、面白くない。
 身じろぎ、見上げ、問いかけたリオセスリは、ぱちりとその氷色を瞬いて。
「あんたにしかしないよ」
 だから拗ねないでくれと、知らずしわの寄った眉間を撫でてくれながらその瞳を融かした。

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多分他の参加者と審判は(またやってる)(お熱い)(雪が解ける)って思ってる