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紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public
リオヌヴィ
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1000字くらい作文詰め合わせ
短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)
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執事と御主人はいいぞ
「貴方に見せるものではないと言っているのに」
こちらへ目を向けた彼は顔をしかめる。困った方だ、と。
今回も「背を向けているように」という彼の言葉を聞き入れなかった私はふふと笑みを返す。
「言っているだろう。君の立ち回りを見ているのが好きなのだ」
常は長銃を操る彼の本領は実は接近戦だ。鍛え抜かれた体躯を余すところなく活用し、拳闘をベースにした彼独自の戦闘スタイルでもって行われる、流れるようで荒々しい、けれどけして粗野ではない力強い立ち回りを見ていると心が沸き立つ。彼の有能さを外聞もなく触れ回りたい気持ちに駆られることもままあるが、知られたら知られたで面白くない気持ちになるだろうとも予想がつくので今のところ、彼の立ち回りが如何に素晴らしかったかは友人達にのみ語ることにしている。
はあ、と大きなため息をつきつつも、彼は手際よく暴漢を縛り上げ、通信端末を取り出した。連絡先は屋敷。この後は控えている者達がやってきてしかるべき事後処理をする。いつもの流れだ。
気絶した暴漢と共に茂みと大木の影に消え、戻ってきた彼は『ボディーガード』から『執事』の姿になっていた。
「もう戻してしまったのか」
先まで黒いグローブの填まっていた手元を見て発した声には相変わらず落胆の色が乗ってしまっていて、彼はその広い肩を竦める。
「人を殴った手袋で貴方のお世話なんて出来ませんし嫌なんですよ」
「私を護ってくれた手袋だろう。私は気にしないが」
彼には黒が似合う。白も纏いこなす彼ではあるが、黒が特別似合うのだ。初めてその手を黒いグローブでよろう姿を見てから現在まで、その印象は覆っていない。あまりにも似合いすぎたので普段もこちらを使って欲しいと黒い手袋を贈り彼を困惑させた
――
執事服には小物の一つに至るまで厳格な基準が定められているそうだ
――
のは今や懐かしい思い出だ。
「
…
じゃあ、明日。明日は黒を使いますよ。今のところ貴方のお出かけの予定がないので。よろしいですか」
「うむ。構わない」
勘弁してくれやらこのひと本当にやら呻いていた彼は、それでも最後には私の希望を汲んでくれた。大体汲んでくれるだろ、と脳裏で従姉妹がぼやく声がしたが恐らく気のせいだろう。人間社会のマナーは訪問予定も来客予定もない日の屋敷の中までは追ってこない。彼が黒を纏っても咎められることはない。揚々と踏み出した私の半歩後ろで、可愛いひとだなと呟く彼の声がした。
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