紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public リオヌヴィ
 

1000字くらい作文詰め合わせ

短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)



どうぞ貴方のお好きな温度で


 同じ食卓を囲んで、同じポットの紅茶を飲んで、二人ベッドに潜り込む。温もりを分け合うこの綺麗なひとと同じ石鹸の香りが自分からしていることへの気恥ずかしさはいまだに拭えないままだ。
 最近は初めからこの腕の中と居場所を定めたらしいひとがもそもそと寝支度を整えるのを好きにさせて、動きを止めたそのひとから満足げな吐息が漏れたのを聞いてから銀の旋毛へ口づけを落とす。ふふ、とちいさな笑い声を聞かせてくれたそのひとはふと、溶けかけた角砂糖のような声音で呟いた。
「君はあたたかい、ので、君の傍にいると私はぬるま湯のようになってしまう」
 清冽な水で君が好いてくれた私でありたいのに。
 弱った、とでも言うようなその言に、よいせと痩身を抱き寄せてその背中をぽんぽんと撫でてやる。
「俺はどんなあんたでも好きだよ。だが強いて言うなら、ぬるま湯でも湯でも水でも、あんたが一番楽な姿で俺の傍にいてくれたら俺は一番嬉しいかな」
 むしろ望むところだ。このひとが自然体で自分の隣にいてくれる。腕の中で憩うてくれている。それはとても光栄なことだから。
 暁の瞳をゆうるりとまたたいたそのひとは、普段よりだいぶんゆっくりと言葉の意味を咀嚼したようだ。至近の美貌が嬉しそうにとろりと笑う。
「そうかそう、か。うん。それなら、いい」
 ちう、と、なんとも可愛らしい音に見合った可愛らしい口づけを鼻の頭にくれたそのひとは、ぴとりと首筋に懐いて完全に脱力したようだった。
「あさまでこのままでいてくれ
 鎖骨にかかる吐息のこそばゆさに肩を震わせて、額にそっと唇を寄せる。
「勿論、喜んで。おやすみ、ヌヴィレットさん」
「おやすみりおせすりどの……
 すや、と立ち始めた寝息に合わせるように、深く深く息を吸う。ちょっと胸がいっぱいで、しばらく眠れそうにない。
 差し当たってこの暴れ回る心臓の音で腕の中のひとを起こしてしまわないかが心配だなぁ、なんて思いながら、ひとまず目を閉じた。

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くっついてすやすやするリオヌヴィから得られる栄養価は高い