紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public リオヌヴィ
 

1000字くらい作文詰め合わせ

短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)



朝一番の大事なお仕事


「わたし、わたしのゆびはちゃんとついているか」
 しょもしょもと萎れた声とこのひとらしくない語彙にくつりと喉が揺れる。相変わらずなめらかで触り心地のいい白い手を包んでやわやわと摩った。
「大丈夫、ついてるよ。長くて綺麗な指が、いつも通り右と左に五本ずつ」
 朝一番、この季節特有の低温に冷やされたこのひとの手に己の体温を移して温めるのは俺の大切な役目で特権だ。主に似て体温も素直なのか比較的ぬくまりやすい白い手は、いつもその指先に冷たさが蟠る。はあ、と息を吹きかけてよしよしと愛でれば、じわりと手と手の温度が混じり合っていくのがわかった。
「ん、こんなもんかな。ずっと気になってたんだが、フォンテーヌの気温、昔より下がったりしてるのかい?」
 そうじゃないなら今まで大変だったんじゃないか?
 無事に人肌の温度を取り戻した指に己の指を絡めてにぎにぎと力を込めながら首を傾げると、恋びとはむぅと喉奥で唸る。
「君が私を甘やかすから」
 フォンテーヌの気温にここ百年ほど目立った変化はない、と前置いてやや俯いたそのひとの、右へ左へ動いた視線がちらと上目にこちらを見るのにうっかり絡めた指へ込める力加減を間違えつつ待っていた答えは俺の胸を綺麗に貫いていった。多分今胸を開いたらプネウマの刃が刺さっているだろうと思う。すでにオーバーキル状態なので「今の私が君なしで冬を越えるのは無理だと思う」なんて追い討ちをかけてくるのはやめて欲しい。愛おしさでどうにかなりそうだ。
「光栄だよ。任せてくれ、責任は取る」
「そうしてもらわねば困る」
 指先に唇を寄せて笑えば大真面目に返る答え。きゅ、と手に力を込めて、恋びとはため息をつく。
「このまま出勤したい」
「お互いあったかくていいな。一緒に新聞の一面を飾るかい?」
 寒い、離したくない。この時期になると少々語彙も行動も幼くなる可愛すぎるひとに、俺は今日も声を上げて笑うのだ。

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リ殿「私が丹精込めて甘やかしました✌️」
みたいな話いっぱい見たい読みたいですよね。