紫輝
2023-12-09 10:28:10
36253文字
Public リオヌヴィ
 

1000字くらい作文詰め合わせ

短いものの詰め合わせセット。書いたら増えます。(最終更新:01/10)



「一緒に住めば全部解決なんじゃないかしら!」


 アドバイスをもらったのをきっかけに爵位に関する書類も一読して、色々人生計画を見直そうかと思い始めた。
 手始めに未来のペットとの生活を見据えて予行演習をするべく旅人に紹介してもらったのだとかの少年の拠点の一室で膝に乗せた猫について語ったリオセスリに、ヌヴィレットはなんとも言い難い顔を見せてくれた。そうか、と返る声にはやや張りがない。
 件の猫は白銀の毛並みと勿忘草の瞳の美しい猫だった。もう少し赤が強ければな、なんて考えている。色々察して欲しいし旅人には察されている。
 猫にも個性があるそうだ。活発だったり大人しかったり、よく鳴いたり、静かだったり。この猫は大人しく、あまり鳴かない。つれなくはないが、べったりでもない。一言で表すなら優雅な猫だった。最近リオセスリの顔を覚えてくれたのか、腰を落ち着けた辺りでするりとやってきてはそっと寄り添ってきたり膝に乗ってきたりする。そんなところもどこかの誰かそっくりだ。可愛い。
「君が新しい、楽しみを、見出せたのなら、それは私にとっても、喜ばしいことだ」
 「水の上」に家を買って、こんな風にペットと過ごす。悪くない。こんなに可愛い生き物が家にいるなら休暇も楽しいものになるはずだ。もう少し有休を使ってもいいかもしれない。きっと看護師長も喜んでくれるだろう――リオセスリの話に弱々しく相づちを打ちながら耳を傾けてくれていたヌヴィレットの纏う空気がいよいよ重くなっていくのが見て取れて、やっぱりなあ、と、思ってしまった。こっそり胸をなで下ろす。薄々感付いてはいたけれど、どうやら自意識過剰ではなかったらしい。このひとは多分。
君の、」
 多分、を絶対にするべく真っ直ぐ行くか迂遠に行くか悩み始めたところで、テノールがぽつりと空気を揺らした。
「うん」
 このひとに話したいことがあるのなら、それを聞くのが最優先だ。姿勢を作る。随分と迷いの見える言葉達が、残らず彼の心の内からきちんと発されるように。
「君の幸せの妨げにはなりたくないのだが、」
「うん」
「君が、その、猫を、構うのは、」
 面白くないと思ってしまった。
 ひどく申し訳なさそうに、組んだ指に元からない色素が更に失われるほど力を込めて、しおと眉を下げるヌヴィレットの言葉で意図せず確信を得て、遅れて途轍もない愛おしさに襲われる。腕の中の白猫をそっとクッションの上に乗せて深くついた息にびくりと肩を跳ね上げたひとの唇から不必要な謝罪がこぼれる前に、空になった腕を広げてその名を呼んだ。
「俺に水元素を一発ぶつけちゃくれないかい」
「急に何を?」
 予想通り首を傾げたヌヴィレットに喉奥で笑う。どうやらお気づきでないらしい。
「あんた嫌だろ?」
 猫の匂いのする俺の腕の中は。
 言い終えたか終えないかくらいのところで水が降って、散って、飛び込んできた。
 こんなに可愛くて綺麗で愛しいひとが手の届くところにいるのだし、もしかしなくてもペットはいなくていいのでは? ああでも逢いたいときに逢えないのはやっぱり不便だなぁ。
 恥ずかしそうで不本意そうで嬉しそう――恐らく、ではあるがそんな感じの複雑な呻き声を上げながらぐりぐりと首筋に懐いてくる猫とは別のベクトルであまりにも可愛すぎる存在を思い切り抱きしめながら、そんなことを考えた。

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って看護師長が言ってました!(タイトル)
いざセスリ殿がペットを飼い始めたらめちゃくちゃモヤッってしそうで、そんなヌ様が愛おしいなという話でした。弊ワットのリ殿、ヌ様を愛でることでペットを愛でたい欲満たされてしまいそうなのでなんだかんだペットは飼わない気がします