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camellia57
2025-12-13 19:47:56
38479文字
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降っても晴れても 君の隣で(川玉SSまとめ 26.5.18更新)
川瀬エンド後の川玉小話まとめ
下に行くほど新しいです
リンク先R18はパス限
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玉森くんは俺の顔が好きだ。本人はそんなことはないって否定するけど。
でも他には俺のどこが好きなんだろう。
今の関係になる前、玉森くんを泣かせたり困らせたりした覚えはあるけど、優しくしたことあったかな。そういうのは俺の役目じゃなかったし。
あいつみたいに玉森くんの書いた小説を楽しむことはできない。俺もたまには褒めてあげればいいのかな。褒める
……
?
……
玉森くんの小説にいいところってあったかな
……
? どこだろう
……
。執筆が早いところ? それって小説の中身のいいところではないよね。それに勢いだけで書いて禄に推敲もしていないってことだ。未完成のものを得意げに読ませてくるし。あの自信はどこから出てくるんだろう。
あぁ、氷川も玉森くんの書いた話を気に入っているんだっけ。あいつなら言われるままに毎日カルスピの大瓶とオムレツライスを玉森くんに喜んで貢ぐんだろうな。外へ食事にも連れて行くだろう。玉森くんの作ったご飯の方が美味しいのに。それに玉森くんの辞書には遠慮って言葉がない。甘やかされた分だけ調子に乗って図々しくなるだけなんだから。俺は玉森くんが望むままには買い与えたりしない。
玉森くんは頑なに今の俺たちが恋人だと認めないけれど、毎晩抱き合って眠ることは許容して、口では「今日もか
……
?」って言いながら期待を隠した目で俺を見る。気がつかない振りをして、俺から求めれば渋々受け入れてゆっくり理性が崩れていく。
意地の悪いことを言えばどこもかしこも赤くしながら締めつけてくる。「好きだよ」と言っても同じ言葉は返ってこないけど身体の反応は正直だからわざと耳許で囁く。言われたことはないけど俺の声も好きなんじゃないかな。あ、やっと顔以外で見つかった。
玉森くんは被虐性があるから、俺と相性がいいのかも。
たまには素直に優しくしてみようかと思って「温泉にでも出掛けようか」って机に向かって頭を抱えてる玉森くんに聞いたら固まってしまった。顔に驚愕って書いてある。そんなに目を見開いたらビー玉みたいな瞳が落ちるよ。
「玉森くん?」
我に返った玉森くんが口をぱくぱくして「な、なんで
……
? どうしたのだ
……
?」と恐る恐る聞いてくる。
…………
失礼だな。
「嬉しいかと思って」
「!?」
もっと驚かせてしまった。
「本当に川瀬か
……
? 熱でもあるのか
……
?」
甘やかそうとしたらこれだ。
「疑うなら昨晩の君の様子を詳しく教えてあげようか?」
途端に焦りだす玉森くん。
「わ、わかった、疑って悪かった
……
! しかし突然そんなことを言われれば動揺しても仕方ないだろう。お前、温泉なんて入れないだろう?」
それはそうなんだけど、
「
……
その環境によるよ。俺が入れなくても玉森くんが喜ぶならそれでよかったんだけど」
「
……
私はお前と入りたいが
……
」
へえ。そうなんだ
……
。
「それで! 急にそんなことを言ってくる理由はほかにもあるのだろう?」
玉森くんはクソがつくほど鈍感だけど、極、極稀に勘が良くなる。動物的な本能かな。
「さっきも言ったけど、君が喜ぶことをしてみようかと思っただけだよ。君が俺に望むことがあれば叶えてあげてもいいかなって」
彼が俺に以前言ったものと似たような言葉で返す。
腕を組んで少しの間考えた玉森くんが言ったのは想定外の内容だった。
「私は
……
お前が、お前自身を大切にして欲しい、と思う」
玉森くんの言っている意味がわからない。
「もっと食べて欲しいし、もっと寝て欲しいし、気を休めて欲しい
……
」
「してると思うけど」
「どこがだ! 帰って来てからだって机に向かって学術書を読んでいるではないか」
「構って欲しかったの? 気がつかなくてごめんね」
わざと怒らせることを言う。
「
……
そうではなくてだな
……
。身体を労って欲しいのだ。倒れてしまうのではないかと心配しているのだよ
……
」
「そんなに柔じゃないけど」
「私が望むことを叶えてくれるのだろう!?」
これでは埒が明かないと思ったのか玉森くんが立ち上がる。自室から俺の部屋まで腕を引いて連れて行かれた。部屋着のままベッドに横になって、隣に来いとぽんぽんと叩く。
「今日はここで過ごすぞ。まずは昼寝だ。休日はいくらでも寝ていい日なのだ」
受験勉強はどこへ行ったんだろう? 俺のためじゃなくて玉森くんが飽きただけなんじゃないの?
「いや、そんな時間の使い方、無駄でしょ」
「無駄を楽しむのだ! いいから来い!」
仕方なく横になる。この時間で他に出来ることなんていくらでもあるのに。
本当に玉森くんは怠惰の化身だ。
「こんなことが嬉しいの?」
君が書いた小説を褒めるんじゃなくて、好物のカルスピとオムレツライスじゃなくて、温泉旅行じゃなくて、ただ天気のいい休日の昼間に惰眠を貪ることが嬉しいの?
それってどうして?
黙ったままの玉森くんが俺の手を握る。
ベッドが芝生になって、風が吹いて、蛙男の気の抜けた声が聞こえた気がした。
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