camellia57
2025-12-13 19:47:56
38479文字
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降っても晴れても 君の隣で(川玉SSまとめ 26.5.18更新)

川瀬エンド後の川玉小話まとめ
下に行くほど新しいです
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 こんな夢を見た。
 
 眠い瞼を擦って目を開けるとそこには私がいた。
 まさかこれは死後の世界で、私の魂が抜け出てしまったのか!? と驚いた拍子に寝台から落ち、床に腰を打ちつけた。さすりながら立ち上がるといつもよりも視界が高いことに違和感を覚える。私の身体ではないようで。ベッドに寝ているのは私。では共寝していた川瀬は? そこでようやくその可能性に気がつき、衣類を収納している扉を開け、そこにある鏡を見れば写っていたのは呆然とした川瀬の顔だった。……しかし起きたときから整ってるのはさすがだな……

「朝から何を騒いでるの……玉森くん……? ……??」
 振り向けば身体を起こした私と目が合う。川瀬の優秀な頭脳は正しくこの状況を理解したらしく、ひどく苦い顔をして「最悪……」とぼやいた。

「ぜっっったいに今日は外に出ないで」
 足を組みながらソファに腰掛けた川瀬が真顔でそう告げた。
 私からこんな低い声が出るのかと不思議な心地だが川瀬の横暴さに抗議はしておこう。
「なぜだ!?」
「そんなヘラッヘラした顔で外に出るなんて冗談じゃないよ。俺の顔で馬鹿面しないで」
「ば、馬鹿って、お前なあ!」
 私の肩に掴まった蛙男が「真顔の玉森さん、怖いですぅ〜……」と震えている。
 うむ、たしかに迫力がある。今度からは今の川瀬の振る舞いを真似してみようか?
 そんなことを考えている私とは違って川瀬の嘆きは止まらない。
「あ~もう、最悪最っ悪。なんなのこれ……
「それはこっちの台詞だ……!」
 仮にも好きな相手の姿になっているのだから、そこまで拒否反応を示さなくてもいいではないか。
 イライラした様子の川瀬がマッチを手にし、火をつけようとして止めた。煙草で心を落ち着かせようとしたかったのではないのか?
「吸わないのか?」
……今は君の身体だからね」
「そ、そうか……

「玉森くんの突飛な発想でこの状況をどうにかしてよ」
「頭をぶつけてみたらどうだろう?」
……君、今より頭が悪くなってもいいの?」
「同時にくしゃみをするのは?」
……汚い」
「また眠ればもとに戻ってるのではないか?」
「まあそれが一番妥当な線かな……そうであることを願うよ。君に講義を受けてもらうわけにもいかないし」

 川瀬の視点から見る私は鏡で見る私とはどこか違って不思議な感覚だ。
 今の中身は私であるけれど川瀬の感情が作用しているのだろうか。
 ナルシストではないし、自分相手にどきどきしたりはしないが、二割増くらいに見えている気がする。となると川瀬はどうなのだろう?

「お前には今どう見えてる?」
「中に入ってる人によってそんなに顔が変わるんだなあって感心してるよ」
「そ、そういうことではなく……。私の思念みたいなものは感じないのか?」
 ああ。とニヤッと笑って川瀬が言う。
「君が俺をどう見てるのか、よくわかったよ」
「!?」
「今の姿じゃ抱くこともできないから、もとに戻ったらちゃんと教えてあげるね」
「い、いらないっ!!」

 ◆◇◆

「!!」
 そこで目が覚めた。
 向かいには目を閉じたままの川瀬がいて、夢だったのかと安堵する。
「おかしな夢を見たものだ……

 目覚めた川瀬から夢の話を聞いて逃げ出すまであと五分。