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河童の皿箱
2026-07-12 21:11:40
54481文字
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多分投稿してなかった文章まとめ(遊戯王)
文章データをひっくり返していたら出てきたものを纏めた。多分古い順。
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(クロスオーバー)
じゃぷん。屋外に設けられた池に、男が1人入る。男の腰ほどまであるその池から、こっこっこ、と、跳ね喜びながら、赤く大きな魚が姿を見せた。
さ、おいで。男が魚を手招きすると、魚はのんびりと泳ぎながら、男の側まで寄り、その周りをぐるりぐるりと回り続ける。
男の名は娑楽斎と云う。この魚はコイキングと呼ばれるポケモンで、男が初めて手に入れたポケモンであった。男がぶらぶら祭りの雰囲気を楽しんでいる時、出店で見かけて捕まえたのが、このコイキングなのだ。
それからしばらく時が経ち、男の手持ちも6匹にまで増えていた。池のそばで男と魚の水遊びを眺めているのは、力士のようなポケモンのマクノシタ。その頭からぶらりぶら下がっているのが、蜘蛛のようなポケモンのタマンチュラ。マクノシタのそばにぺたり座り込んでいるのが、声の小さなポケモンのゴニョニョ。少し離れた部屋の中、男の筆やれなんやれを並べているのが、少女のようなポケモンのキルリア。同じく並べて整理しているのが、茶入れのようなポケモンのチャデス。この6体が、男の手持ちである。
皆、よく手入れされ、男に懐いている。男は少しばかり特殊な浮世絵師であり、何かと出かけることが多かったが、家で留守を守るときも、男について行く時も、皆よく言うことを聞き、何かと手伝うことも多い。
さて、そんな水遊びの裏側、ゴニョニョがピンと耳を立てると、少し遠くの部屋から赤子の鳴き声がした。おぎゃあおぎゃあと泣く声。そちらにも、人がいる。
紫色の赤子のようなポケモンは、エレズンと言う。それを抱き上げてあやしているのが、先ほど水遊びをしていた男の仲間、雅楽師のワゴンと云う。この男は自らの仕事もあってか、音鳴らすポケモンが自然と集まり、それを手持ちにしている。男が抱える赤ん坊もその一つであり、男の頭に留まる蝙蝠のようなポケモン、オンバットに、男の足元でじゃれつくポケモン、ジャランゴも同じくであった。とうとう身動きが取れなくなってしまった男。さてこれは困った、となんとか脱しようとしたところ、ペタペタとヒレを動かし、やってきたのは乗り物ポケモンのラプラス。このラプラスが、男の初めの手持ちであった。何かとやんちゃな男の手持ちと、それに手を焼く男にせっせと手を貸して、ラプラスの背中にはあっという間に3匹のやんちゃ小僧たちが乗っていて、ゆらゆら揺れればぐずっていた赤ん坊も上機嫌になる。あぁ、ありがとうなぁ、ラプラス。助けられた男がそうっと撫でれば、頭を下げてきゅうきゅう鳴き出す。少し離れたところでは、くるくる回るヤジロベエのようなポケモンのヤジロンと、青銅鏡のようなポケモンのドーミラーが、我関せずとばかりに互いに寄り添って、そんな男たちの様子をぼうっと眺めていた。
さて、そんな賑やかな部屋をちらり覗き込む大きな影。オランウータンのようなポケモンは、ヤレユータンと呼ばれている。途中から住み始めたものの、その賢さはこの屋敷に住むポケモンの大きな力となり、尊敬され、いつの間にか長のような立ち位置にいた。そのそばをとおりかかり、どうかしたのか、と黒衣が呟く。ヤレユータンは首を振って、その黒衣について歩き始めた。この黒衣が、ヤレユータンの主人であり、名をスパイダーと云う。蜘蛛の名の通り、蜘蛛のポケモンに好かれやすく、実際その頭には、小さな頭を水泡で包み込む蜘蛛のポケモン、シズクモが乗っかっていた。足元にはだるまのようなポケモン、ダルマッカがいくつかの人形を抱え、その周囲にもいくつかの人形が浮いていた。浮遊する人形にとりついて遊ぶのは、影法師のようなポケモンのカゲボウズ。黒衣が開いた部屋で待っていたのが、鍛冶として捕まえられたカヌチャンと、そのカヌチャンが狩って来てしまったギアルである。黒衣は言う。それじゃあ、また作り始めようか、と。
さて、黒衣が人形作りを始めた頃、ざぶざぶ遊び続ける男と魚のすぐ近くに、2人の子供がやってきた。2人とも名をセアミンと名乗っている。だが、ぼんやりした方と、どこかしゃっきりしている方とで見分けはつく。それでも見分けがつかぬなら、足元について回る子犬のようなポケモン、ガーティを見ればわかりやすい。ぼんやりしている方のガーディは口を開く癖があり、しゃっきりしている方のガーディは口を閉じる癖があるからだ。
さて、そんな口を開くガーディの背に乗っているのは、鼻の高いポケモンのコノハナ。ぼんやりした子の頭上を浮いているのは、死相を持ち歩くポケモンのデスマス。腕の中で大人しくぼんやりしているのが、この子供の初めの手持ち、ニャスパーである。そして、男が今も浸かっている池に、子供は蛍光色の魚、ケイコウオを放っては、自分もまた水の中に入ろうとした、が、それは大蛇のポケモン、ハブネークとすでに水に浸かっている男によって阻止された。服着たまんま入るんじゃねぇぞ、と押し返された子供は、頬を膨らます。
もう、いつも急なんだから、と、口を開くガーディを撫でる子供。そばに寄ってきたのは、鹿のようなポケモンのシキジカ、その花咲く頭に乗っかっているのが、花に擬態するポケモンのカリキリである。あーあとばかりに肩をすくめるゴシック調のポケモンはゴチミル。腰に手をやってやれやれと眺めていたのが、頭に大きな口があるポケモンのクチート。どこか不機嫌になった子供の近くに飛んできたのが、舞を踊るポケモンのオドリドリである。暇だから遊んでとせがむオドリドリ。あぁ、いいじゃないか。ケイコウオの世話ならしておくからさ。男は子供に遊んでこいと言えば、すぐ乗り気になって稽古場へと向かっていった。2人の手持ちも、それを追いかけて。
男は思う。やれやれ、すっかり賑やかになったものだ、と。すいすい泳ぐコイキングと、寄ってきたケイコウオ、それぞれの体についた苔を専用のブラシで落としながら、男はそれでも、そんな毎日を楽しいと思った。
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