河童の皿箱
2026-07-12 21:11:40
54481文字
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多分投稿してなかった文章まとめ(遊戯王)

文章データをひっくり返していたら出てきたものを纏めた。多分古い順。


(没)

 無残にも横たわる黒。完全に崩壊した黄。まろび出るは肉体の内側のカラメルとプリン。その姿を見留めた能楽師たちは脇に立つ絵師をちらりと見た。かち合う視線、そして沈黙。わずかな逡巡の後、中の子がぽかり、絵師をぶつ。
 「ごめんって! いやマジでむずいじゃんかよコレ!」。絵師が能楽師の側攻撃を受け入れながらも謝罪を口にする。すっかりしぼんでしまった大の子が見るからに残念そうな顔を向け続け、いつものように眉間にしわを寄せた小の子が絵師への攻撃に加勢すれば、絵師はもはや自らの罪への罰から逃れるすべはなかった。

 事の始まりはある菓子店からであった。巷で有名な、鳥型の愛らしい、美味なババロアモンブラン。プルプルと震える黒い小鳥に被せられた珍妙な面。そんな佇まいにすっかり魅了された能楽師たち3人組は、絵師にねだり、そしてみんなで食べようと6つ、少し大きな箱に詰めてもらい、歩いて宿まで戻ってきたのであった。
 そう、ただそれだけ。ちょっと、その小鳥がすっかり横転して崩れてしまっただけ。とはいえやはり、あの愛らしい姿の一切、面影などなく。保冷剤に付着した黒いクリームが、仮面を象るチョコレートが、悲しげに散らばっていては、能楽師たちも落胆する他になく。
 ぽかぽか叩いて、絵師はベッドに逃げ込むも、能楽師たちはまだまだ追撃の手を緩めず。雅楽師がついに止めに入れば、人形師は静かに、残骸を6等分して配る。
 むくれる中の子、怒る下の子、苦笑の大の子。仕方がないけどいただきますと、手を合わせては、グズグズの肉体をすくい上げる。

 まあ、それからは頬を押さえて機嫌を直してくれたのだけれど。絵師は次回にもまた。今度こそは崩れぬようにと、密かに心に誓うのであった。