河童の皿箱
2026-07-12 21:11:40
54481文字
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多分投稿してなかった文章まとめ(遊戯王)

文章データをひっくり返していたら出てきたものを纏めた。多分古い順。


(掲載した記憶あり。Privatter+には掲載していなかったらしい)

  深い深い霧の奥。自然の摂理に反するその暗闇は町一番の大通りを閉ざし、日の光も、月の光も見えぬ。ただただその中にいる人々は、ただ茫然と、鉄の巨体を眺めていた。
 遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ。高らかに繰り出され続ける歌声は、虹の糸に繋ぐ巨大なラウドスピーカーに乗って、人をさらに霧の中へと誘い続ける。先導する児の衣装がひらり、浮遊の風にあおられひらり舞い踊れば、連れ立つ鉄の獅子は大足を踏んで追い続ける。
 練り歩くは太古と未来の融合、異色の同調、あるいは、超越された表現。『それ』が何を意味するのか、『それ』に何が込められているのか、それを知るのは更新し続ける『それ』と、『それら』しか知らない。『それ』を見続ける人々は、集められたのか、それとも集まったのか、それすらも人々は知りえない。だが、集まった人々が誰であろうと、この霧の中では何者でもないことだけは、誰もが知りえていた。

 人々は熱の中心にて浮かれ続ける。音圧に身を任せ、色の刺激を求めて目を見開き、息も鼓動も『それら』の産み出すまま。規模も把握できぬほどの人々の合間を、『それ』はただ歩き続ける。

 歩き続ける。名も無き者たちと共に。