芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


「緊急事態宣言が出ているし、満員状態、しかも酷い暴風雨なのにこの烈車ちゃんと動くの?」

「なぁに、俺達には神祖様の御加護があるので大丈夫さ。きっとヤマタノオロチ退治を特等席で見せてくれるに違いない。」

 何も知らず豪勢なアフタヌーンティーを楽しむ乗客達を乗せ走行を開始した「烈車」は瞬く間に最高速度を出し終着駅即ち今現在キングギドラがいる東京駅を目指す。最初は東京駅に居座るキングギドラを大掛かりなアトラクションの仕掛けと思い込んでいた乗客達も終着駅が近い筈なのに「烈車」が一向に停車しようとしないことに、そして乗車前に手渡され終着駅に着いたら中を見るよう指示された「お楽しみ袋」の中身が爆弾だったことに気付き顔色がどんどん変わっていく。

「お楽しみ袋は何かな?ひえぇ!これ爆弾じゃないか!」

「いくら特攻烈車だといっても本当に特攻したらシャレにならんだろ!お願いだ!冗談だと言ってくれ!烈車を止めろぉ!」

 多量の爆弾を搭載した「烈車」を東京駅構内にいる標的に衝突させ、同時に東京駅周辺の高層ビルを遠隔爆破して倒壊させキングギドラを生き埋めに、これが教祖楠木肝煎りの「烈車爆弾作戦」の全容だ。大勢の生きた人間が乗る車両をキングギドラに特攻させるなど外道の極み。「烈車」の運転台に例の芳香を充満させ運転手を恍惚状態にして特攻させるのは特攻機を操縦する若者にヒロポン即ち覚醒剤を打った旧日本軍上層部と同じやり方。敢えて乗客を恍惚状態にせず泣き叫ぶ様子を隠しカメラで観てほくそ笑む教祖楠木の冷酷さには最早かける言葉が見つからないが。

 それにしても日頃から基地被害に苦しむ沖縄の人達を腐し続け他人の家が自衛隊に強制接収されるのは嗤う癖に自分の部屋が自衛隊に強制接収されると「ここは僕の城だ!出て行きたくない!」と駄々をこねる文京区在住の軍オタといい、太平洋戦争末期の特攻を「殉国の美談」と持ち上げ「俺もその当時の若者なら喜んで国の為に死ぬ。」とまで言っておきながらいざ自分達が特攻させられると「烈車を止めろぉ!」と泣き叫ぶ乗客といい、右翼思想にかぶれた連中の身勝手さには呆れるばかり。ただしどれ程身勝手な連中であろうとクズ自衛官に射殺されたり特攻させられたりするいわれなど断じてないと改めて明記しておく。

 早速結果を言ってしまうと教祖楠木肝煎りの「烈車爆弾作戦」は大失敗。壱號から四號の「烈車」は東京駅構内に突入するもギリギリのところでキングギドラが真上に飛翔したことにより空振りに終わり、キングギドラの飛翔を阻むため東京駅周辺の高層ビルを遠隔爆破し倒壊させるもビルの破片の雪崩は両翼の強靭な羽ばたきにより悉く弾き返された。各首が稲妻状の引力光線を吐きビル爆破時の振動により脱線した「烈車」を爆破し東京駅全体を巨大な爆炎が覆うも、粉塵の薄れた中から無傷のキングギドラの姿が。第二波の「烈車」爆弾群である五號から七號に至っては真正面から引力光線を浴びキングギドラ本体に衝突どころか東京駅構内への突入も出来ないまま大爆発し粉々に。

 「烈車爆弾作戦」自体は大失敗したとはいえ、先程教祖楠木が言っていた「第二段階」はまだ終わらない。戦車隊、武装ヘリ部隊がまだ東京駅構内にいるキングギドラに集中砲火を浴びせ釘付けにしつつ、消防車の隊列がキングギドラに向け「ドルフィン粒子溶液」を噴射した。戦車隊、武装ヘリ部隊、消防車の隊列が引力光線並びに稲妻の餌食となり大破した一方、松永自ら太古の昔にキングギドラが残した鱗の欠片を調べ上げただけあって溶液を浴びたキングギドラは少しずつ弱っていく。

 実のところキングギドラが地球に来る一ヶ月程前から関東各地に隕石が落下する事象が相次いだ。とある反政府主義者の依頼によりその隕石の成分を調べていた生物学者の尾形おがた恵秀よしひで博士は教祖楠木の息のかかった自衛隊共に拉致監禁された。一見すると生物学者が隕石を調べるのは妙な話だ。しかし以前からキングギドラについてある程度知っていたその反政府主義者は関東各地に落下した隕石にキングギドラの新陳代謝を促進し強大化させる成分が含まれていると考え、尾形博士も地球外生命体であるキングギドラに関する研究ならと依頼を引き受けた次第。そしてウヨポネ教徒達に自白剤を打たれた尾形博士から隕石とキングギドラの関係性を聞かされ、教祖楠木はキングギドラの強大化を阻むため自衛隊を動かし隕石全てに鋼鉄の覆いを付けさせた。そのため今現在キングギドラはまだ本調子ではないものの、東京駅を包囲する自衛隊との交戦を優位に運ぶ。

 キングギドラが到着する前に東京駅構内を離れたった今皇居外苑の本営に戻った松永は驚いた。何と遥か遠方から無数のミサイルがキングギドラのいる東京駅構内を狙い飛来したのだ。