芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


「神祖サマ、自発的に全裸になったのか、偉い、偉い。では褒美として今度こそ消して、グワーッ!」

 途端に黄金の全裸男の姿が消え、全裸になった逃亡犯楠木の方は安堵する暇も無くほぼ原型をとどめていない「タカマガハラ」の船体共々時空の歪みに飲み込まれた。

 黄金の全裸男がふと両目を開くと周囲には何も無くただ闇が広がるのみ。闇が広がるというのはそれを照らす光が無い、即ち黄金の全裸男は元の全裸男楠木に戻ったということ。

「漸く帰ってきたな、楠木武。」

 闇の中から何者かに話しかけられ、全裸男楠木はただ怯え戸惑うばかり。

「折角だから全てを説明しよう。あの大河隆治が作った次元転移装置はあくまで平行世界へ移動するものであり、タイムスリップする機能は無い。現に大河本人が平行世界へと一時的に移動した時もそうだった。ところが大河と同じ平行世界へと移動した貴様は過去に、まだウヨポネ教団が健在でその世界の楠木武が生きていた頃へとタイムスリップした。どういう原理かは吾輩にもさっぱりわからんが楠木武同士見えない力で引かれ合ったと考えれば説明がつく。そしてその世界で死亡した後も亡霊として教祖サマの方の楠木武に憑いていた貴様がつい先程この世界に帰ってきた。どうやらあの龍神が吐いた光線に違う世界から来た者を元の世界に戻す力があったらしい。さぁて、教祖サマの方の楠木武があの後どうなったかを見てみようか。」

 全裸男楠木の目の前に映し出されたのは時空の歪みに飲み込まれ全身が消滅した後の逃亡犯楠木が行った世界、要するに死後の世界である。

「あ、あれは誰だ?俺みたいなのがもう1人いるぞ!」

 全裸男楠木が驚くのも無理はない。死亡した逃亡犯楠木が同じく死亡した松永に痛めつけられ、そんな逃亡犯楠木を羽交い絞めして松永の折檻を手伝っている男の姿形は楠木武そのものなのだから。

「そんなに驚くことも無かろう。あの楠木武そっくりの男は貴様と教祖サマの方の楠木武によって生まれた存在なのだからな。さしずめ3人目の楠木武といったところか。」

 謎の声曰くあの楠木武そっくりな男は全裸男楠木、逃亡犯楠木もとい教祖楠木のそれぞれの心の奥底のごくわずかな良心が具象化した存在、龍の力を得て超人化した全裸男楠木が教祖楠木と接触した結果一人の人間の魂として生まれ出たものの肉体が無かったためそのまま冥界に行き教祖楠木の名誉と正義と奪った命の数を数える刑を科されたとのこと。

「吾輩としたことが自己紹介をすっかり忘れていた。吾輩は火車かしゃ、悪しき魂を好んで喰らう妖よ。数々の平行世界の楠木武はどいつもこいつも腐れ外道故地獄が楠木武だらけになり大変なことになってな。よって閻魔サンは吾輩にどこかの平行世界の楠木武がくたばる度その魂を喰らって良いと言った。楠木武の悪しき魂は吾輩にとって何度頂いても飽きないご馳走なのだ。貴様は平行世界に行った際過去に飛んだから死亡しても喰うことが出来なかった。吾輩は平行世界への移動は出来ても過去や未来には行けんのだ。そして既に死んでいる貴様は元の世界、元の時代に帰ってきた。どれほどこの時を待ち望んだことか。それでは頂こう。」

 闇の中から姿を現した火車は目の前の全裸男楠木をあっという間に飲み込んだ。元の世界にいた頃は部下5人と大河を殺害、平行世界に行き黄金の全裸男と化してからは10人以上殺害という己の悪事を全く反省していない全裸男楠木の魂は十分汚れきっていて、汚れた魂を好む火車にとっては待ちに待ったご馳走。

「出来れば教祖サマの方の楠木武の魂も頂きたかったが、それはもう叶わぬ夢。また他の平行世界の楠木武がくたばればそいつを頂くまで。」

 早速火車は何処かの平行世界の楠木の死亡を察知し、急ぎその世界へと向かった。

 逃亡犯楠木が「タカマガハラ」の船体共々太陽系から弾き出されたのを受け、その逃亡犯楠木の最終兵器行使宣言により「残り1秒」だった終末時計の針は都心に核が撃ち込まれる前に戻されることに。世界中の混乱自体は鎮まりつつあるとはいえ、混乱の元凶である日本への世界からの非難の声はとどまるところを知らない。ただ特に激しく日本を非難していたタネンに関しては無茶なミサイル発射命令を出し複数の国、複数のアメリカ軍基地に甚大な被害を与えた件をアメリカ国内外から非難された途端に雲隠れしたが。