芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


第四章 抗う者達


 『古事記』に詳しい方なら教祖楠木が松永をドルフィン博士と呼んでいた理由がわかった頃だろう。教祖楠木はまだ陸自にいて教団設立の資金確保のため自衛隊の装備品を暴力団に横流ししていた頃から『古事記』、『日本書紀』を愛読し己を太子、後の仲哀天皇に準えるようになっていた。一方的に思いを寄せる女性に怪しげな薬を飲ませて逮捕され出所後行き場が無い松永を教団に迎え入れドルフィン博士と呼んだのも、鼻に目立つ傷跡がある彼を太子が食した鼻に傷があるイルカに準えてのこと。

「これは終わりではない、始まりだ。大楠公の末裔である俺様、即ちまほろば・すさのおが君臨する新たな世界の。」

 部屋を出て隣のホールに移動した教祖楠木の目線の先には皇居外苑にあった筈の楠木正成の騎馬像が。何のことは無い、キングギドラへの核攻撃時に皇居外苑が核爆発に飲み込まれるのを想定しこの銅像を事前に移動させておいたのだ。松永をはじめ大勢のお仲間を核爆発の餌食にしても平気な癖に自分のご先祖の銅像が餌食になるのは嫌なのかと嫌味を言いたくなる。

 東京駅から距離があり小型核兵器の「クサナギソードニュークリア」の核爆発に飲み込まれることは無かった渋谷ではあるものの凄まじい振動に加え爆風が押し寄せ、流石のウヨポネ教徒達もまほろば経を唱えるどころではない。その代わり東京駅方面に上がった巨大なキノコ雲を目にした途端に浮かれ騒ぎ、自分達が夥しい放射能を浴び被曝した自覚は無い模様。

「ね!言ったでしょ!?神祖様の予言通りヤマタノオロチが降りて来て、神祖様がヤマタノオロチに勝利すると!」

 他のウヨポネ教徒達と共に通江が浮かれ騒ぐ一方、最近まで日本国首相だった四郎はこの核攻撃により日本が世界中から不信を買い窮地に陥ることに気付き地面に頭を打ちつけ突っ伏すばかり。もっともまだ日本国首相だった頃の四郎は非核三原則を敵視し日本も小型核兵器なら保有しても構わないと放言したことがある上、敵基地攻撃能力などと宣い自衛隊による他国への先制攻撃を可能とする法改悪を企てていて、今回の教祖楠木の暴挙に先鞭をつけたのは最早疑いようが無いが。

「楠木!アイツは、何て、何てことしやがったのだ・・・。」

 この配偶者の言葉を聞いた通江はまたもや逆上、突っ伏していた四郎はまたもやミミズ腫れだらけの背中に手痛い一撃を貰う羽目に。

「貴方!神祖様に向かってその言い草は何ですか!?すさのお神祖様と呼びなさい!!」

 通江から手痛い一撃を貰い意識を失ったため彼女のけたたましい金切り声を聞かずに済んだのはある意味不幸中の幸いか。

 四郎の懸念通り世界各国は対日政策を大幅に見直し、一気に進んだ世界終末時計の針が「20秒前」と史上最短の数値を指し示す。中国、ロシア、韓国朝鮮に加えインドネシア、オーストラリア、そして台湾等日本に近い国々は日本を新たな脅威と見做し、フランス、イギリス等地理的に日本から遠い国々も空母機動部隊を動かし日本近海を目指す。日本の教団が在日アメリカ軍から小型核兵器の技術を盗み実際に核兵器を使用したのはホワイトハウスでも重大な問題とされ、ビル・タネン合衆国大統領はCIAにその教団の調査を命じた際「日本の防衛関係者でヒゲを生やしたアイツが首謀者らしい」と呟き口髭を生やし元自衛官の教祖楠木が元凶であることに薄々気付いている様子。ちなみに教祖楠木は在日アメリカ軍将校とのコネでタネン主催の晩餐会に参加したことがあり、その時タネンに自慢の口髭を侮辱されたのを今でも恨んでいる。タネンもその時の教祖楠木の尊大な態度に辟易し、晩餐会が終わるや否や在日アメリカ軍将校に直接電話をかけ「二度とアイツを呼ぶな!」と怒鳴りつけた。そもそもタネン自身教祖楠木に負けず劣らず尊大かつ横暴な性格だが。

 現在日本国内に潜伏中の反政府主義者アラン・ジョナは尾形博士に最近関東各地に落下した隕石の調査を依頼した張本人でもある。ジョナは古代の壁画から太古の昔にモンスター0ことキングギドラが地球に飛来したのを知り、反政府活動の傍ら調査を続け次第にキングギドラを崇拝するように。

「隊長、モンスター0は大丈夫なのでしょうか?手助けを。」