芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


「どうだ!これがこの楠木の全裸!ミケランジェロのダビデ像に匹敵する美しさがあるだろう!おっとこの楠木の全裸は毎日太陽を浴び続けた小麦色故冷たい大理石の像には無い温かみがあったか!さあ貴様らこの美しき全裸を気の済むまで見ろ!グハハハハ!」

 講堂全体にガンガン響く下品な笑い声を発した全裸男楠木の世迷言に信徒達は大爆笑、「神祖様」も顔を伏せ全身を震わせ明らかに大爆笑したい衝動に駆られている。

「このオヤジ、大恥かいてる自覚無さ過ぎ!酔っ払いかよ!」

「見た目は神祖様そっくりなのに馬鹿丸出しぃ!」

 何とか大爆笑したい衝動を抑え込んだ「神祖様」がスッと立ち上がり、信徒達は互いに目配せして笑うのを止め場が一斉に静まり返った。

「大恥をかいている自覚も無い哀れな中年男よ、よく聞きなさい。あなたは日本人だ。日本人であるというだけで素晴らしい、そう、そのままの日本人、そのままのあなたで良い❗️日本人というだけですでに神の民なのだ❗️日本人は宇宙のすべてを統べる神、すさのおの民であり私と一つなのだ‼️」

 この「神祖様」の発言は「日本人でないならゴミ」と言ったも同然であり、民族差別も甚だしい。信徒達はこの差別丸出し発言に感涙し、中には失神する者も。

「確かに日本人であるだけで素晴らしいのはよくわかる。だが貴様、勝手に日本人の代表面するな!日本人というのは天皇陛下に忠誠を誓い、皇室の存続のため身命を賭すものだ!何がすさのおの民だ!何が私と一つだ!さては貴様天皇陛下の地位を狙っているな!この国賊が!」

 この物言いからわかるように全裸男楠木もまた国粋主義に毒され、「日本人でないならゴミ」という差別思想の持ち主。そんな全裸男楠木が「神祖様」の発言に逆上したのは皇室崇拝者故その皇室を蔑ろにする気配を感じ取ったのが大きい。要するに皇室を蔑ろにさえしなければ差別発言自体は一向に構わないということ。

「し、し、神祖様を、ぶ、侮辱するなぁ!」

 そう叫んだ信徒の一人、門長かどなが通江みちえは全裸男楠木の背中に精神注入棒と思しき木製の棒の一撃を叩き込んだ。両目を血走らせ金切り声を上げ全裸男楠木の全身を滅多打ち、こう記述すれば彼女がどれだけ「神祖様」に心酔しその「神祖様」を罵倒した全裸男にどれだけ怒っているのか痛いほどわかるだろう。

「その辺にしておきなさい。」

「申し訳ございません、あの無礼者にまほろば精神を注入してやったのですが、少し熱くなり過ぎました。」

 人格者ぶって門長の暴力行為を止めさせた「神祖様」ではあるものの、彼女に全身を殴打され呻き声を上げている全裸男楠木を眺め内心ニヤニヤしているのが実情。彼女が全裸男楠木を折檻するのに使った棒は教団内では「まほろば精神注入棒」と呼ばれ、「神祖様」は事あるごとにその棒を振るい信徒達を痛めつけるのを楽しんでいる。こういうところも全裸男楠木と全く同じ。違いがあるとすればその暴行により奪った命の数。全裸男楠木が5人を殺めたのに対し、「神祖様」が殺めた信徒の数は10人、50人、あるいは100人以上とも。

 読者の皆様の中には「神祖様専用の棒を信徒の一人に過ぎない門長通江が使って良いの?」と思った方もいるかもしれない。実のところ彼女の配偶者四郎しろうはこの世界では日本国首相の肩書を持ち、彼女を洗脳して四郎を痛めつけるよう仕向けた「神祖様」は特別に棒の使用を許可したのだ。

「もうすぐ大事な客が来る。その全裸の者はどこかの部屋に入れておきなさい。」

「御意。」