芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


第二章 都心制圧


 全裸男楠木が手当てもされないまま何処かに連行されたのと入れ違いに、60歳ぐらいのスーツ姿の男がやってきた。いや、信徒達に連行されてきたと記述した方が正確か。この男こそ毎日のように通江に痛めつけられとうとう首相辞任を余儀無くされた四郎に他ならない。このように記述すると四郎が気の毒に見えるとはいえ、日本国首相の地位を私物化し大手報道機関の幹部を多額の税金を費やした会食で懐柔、国会審議中に女性議員を狙い撃ちして汚いヤジを飛ばす、脱税、公金横領、公職選挙法違反等数々の違法行為に手を染めつつ検察庁を抱き込み己の悪事を隠蔽し続けてきたクズなので同情は無用と明記しておく。

 四郎が連行された教団本部の奥の部屋は高天原室と呼ばれ、通江曰く信徒でもごく一部の者しか入室を許されないとのこと。椅子に座らされた四郎の目線の先はベールがかかり、奥をよく見ると過剰に装飾が施された椅子に座る「神祖様」の姿が。

「やぁ門長君、やっと会えたね。私はこの日が来るのを待っていたんだ。」

「お前は一体何者なんだ?私に何をさせようとしてるんだ?私はすでに総理を辞めたのだぞ?」

「俺の名前を憶えてないとは心外だ、楠木武だよ。アンタに爪弾きにされた愛国者だよ。思い出したか❓」

 そう、信徒達から「神祖様」と呼ばれる自称「まほろば・すさのお」こそこの世界の楠木に他ならず、外見が全裸男楠木とほぼ同じなのも当然だと頷ける。ちなみに通江をはじめ信徒達が教祖楠木に心酔しているのは「神代の芳香」なる怪しげな芳香を嗅がされ続けた上マイク、アンプ、スピーカーを組み合わせ聴衆を心地良くさせる「神の声」装置の効力も相俟って恍惚状態になっているのが大きく、教団お抱えの科学者のドルフィン博士こと松永まつなが隆史たかしはその芳香並びに装置を開発する際教祖楠木本人には効かないよう何らかの加工を施している。そして平行世界から来た全裸男楠木も教祖楠木と同一の細胞、体質の持ち主故「神代の芳香」も「神の声」装置も効かず、信徒達が恍惚状態になる中教祖楠木の発言に反論出来たのだ。

 元々小心者の四郎はベールが開かれ不気味に微笑む教祖楠木の顔が見えた途端に青ざめ、通江に痛めつけられた背中のミミズ腫れの痛みも忘れただ怯えるばかり。ちなみに今現在高天原室内部には「神代の芳香」は焚かれておらず「神の声」装置も電源が切られている。敢えて四郎を恍惚状態にせず精神的に追い込み孤立感、そして屈辱感に打ちひしがれるよう仕向ける、それが教祖楠木の強い意向。配偶者の通江を含む信徒達が長年総理を務めてきた四郎に何の敬意も示していないのも教祖楠木の狙い通り。

「門長四郎、アンタのような生温いやり方じゃあ憲法改正など到底出来んよ❗️俺のやり方でなければ日本は守れん❗️そのために俺はこの教団を作り、日本の栄光を取り戻すのだぁ‼️」

「く、楠木武、お前の望みは何だ?総理の椅子か?楠木内閣か?」

 この発言を聞いた途端に神祖楠木は「グワッハハハ❗️」と下品かつやかましい笑い声を発した。

「総理の椅子⁉️俺はそんなチンケなものなどどうでもいい❗️何のために教団を立ち上げたと思うのだ⁉️俺はこの国の神となるのだ❗️俺の名は神として永遠に残るのだぁ‼️」

 四郎の股間には独特の悪臭漂う水たまりがじわりじわりと広がり、教祖楠木の粗暴かつ思い上がりも甚だしい本性を目の当たりにして恐怖感が限界に達しつつあるのはまず間違いない。

 まだ日本国首相だった頃国会審議中に野党議員に対し「早く質問しろよ!」、「ニッキョーソニッキョーソ!」等汚いヤジを飛ばしたあの威勢の良さは完全に鳴りを潜め、今の四郎は増上慢極まりない教祖楠木に対し「狂ってる。」と呟くのが関の山といったところ。

「俺が狂ってる⁉️門長アンタにだけは言われたかねぇな❗️アンタは自分の妻でさえコントロール出来ない無能者ではないか❗️俺の声は人々を魅了し文字通り一致団結して強い日本を作り、輝かしい未来を切り拓くのだぁ‼️」

 陸海空全ての幹部自衛官は勿論在日アメリカ軍の将校とも人脈がある教祖楠木は報道機関にも徐々に影響力を及ぼし今ではどのチャンネルも彼の教団のCMを流す程に。四郎のSPも運転手も皆教祖楠木の手に落ちたため辞任会見を終えた彼を教団本部へと連行するのは造作も無いこと。SPも運転手も四郎からの陰湿なパワハラに遭い続け教祖楠木に救いを求めた側面もある以上パワハラ政治屋の自業自得とも言えるが。