芹沢亀吉
2025-11-03 19:43:35
45065文字
Public 菊タブー
 

逃亡先にて

暴虐な軍国主義者の楠木武が大恥をかく物語の通算120話目。かなり濃厚な性描写もあるので18歳未満の閲覧はお断り。そして⚠️が付いている章は食事中には読まないこと!


「あっ間違えた、ドカーン‼️」

 爆弾付きの首輪自体はカチャッと外れたとはいえ入江は異様な大声に驚き意識を失い、股間周辺に独特の悪臭を放つ巨大な染みが目立つのは黄金の全裸男と遭遇した時の逃亡犯楠木と同じ。宇宙ステーション「タカマガハラ」への逃亡に成功した逃亡犯楠木は大画面に映る入江をじらし徹底的に怯えさせ爆発まで残り1分のところでわざと大声を張り上げたのだ。失神した入江を画面越しに観てニヤニヤ笑うために。

 いきなり大画面にジョナの顔が大映しになり、結局逃亡犯楠木が失神した入江を観ることが出来たのは時間にして1分程度。

「Mr. KAMIKAZE、久しぶりだね。しかしながら君は相変わらずだな。」

「さすが貴方だ。この宇宙ステーションの通信システムに侵入してくるとはね。まぁ予測出来たが。あの時の屈辱は忘れていない。」

 逃亡犯楠木の言う「あの時の屈辱」は10年以上前の中東某国におけるジョナとのひと悶着を指す。当時イギリス陸軍大佐だったジョナは国連軍教官として現地に派遣され、日本から派遣された陸自の部隊を率いる楠木とはその頃からの顔見知り。訓練では部下達に無茶をさせ捨て駒扱いした上注意しても「日本人には日本人のやり方がある❗️」と口答えする楠木の「問題児」ぶりにジョナはほとほと呆れ果て、最早PKOの活動からは逸脱した実戦では楠木の滅茶苦茶な采配ぶりを見かねて砂地に転がし、副司令官の田中たなか哲郎てつろう三等陸佐に陸自の指揮を委ねることに。ジョナの判断が功を奏し陸自には戦死者が全く出なかったとはいえ楠木はジョナを逆恨みし何度も暗殺を試みる始末。現在もジョナが生きていて反政府活動を行っているのを踏まえると10年以上前の楠木の暗殺が悉く失敗したのは火を見るよりも明らかだが。読者の皆様にはジョナ暗殺を決行する度そのジョナに砂地を転がされ全身砂まみれになる楠木の醜態を想像し思う存分笑って頂きたい。

 中東から帰国後の楠木は部下達に箝口を強いさも己が大活躍したかのように喧伝、自衛隊上層部や防衛族議員とのコネを最大限に活用し田中を左遷、更には辞職に追い込んだ。後にイギリス陸軍を辞め反政府活動に身を投じたジョナは日本国内に居場所の無い田中に声をかけ、以来彼はタイガー田中と名乗りジョナの右腕に。陸上自衛官だった頃の経験、人脈を生かして尾形博士救出計画を成功させ、教祖楠木の息のかかった自衛官連中がジョナ一派を襲撃した際は銃撃に怯まず車の運転を続けジョナが敵の10式戦車の制御を奪う時間を稼ぎ、今はジョナと共に「タカマガハラ」の通信システムに侵入とここ数日に限っても田中の活躍ぶりは目を見張るものがある。

「ジョナ、今度はお前が地べたに這いつくばることになるのだよ。我が宇宙ステーションの通信システムに侵入したのは見事だが最終兵器システムへの侵入は不可能さ。そこは電子戦の最新技術を俺が考案しドルフィン博士が構築した侵入不可能なシステムだ。」

「確かに複雑で解析が手間取っている。」

「もう解析し始めているとは流石だ、しかしムダだよ。あの10式のシステムとは雲泥の差があるから貴様のマルウェアも侵入出来ないさ。ジョナ、男は諦めが肝心なのだよ。貴様も男なら早く諦めろ、この俺に、まほろば・すさのおに刃向かうのを。」

「それらのシステムを作り上げた入江氏やドルフィン博士達を簡単に使い捨てたのはまさにお前らしい、変わらないな、部下の自衛官達に無茶をさせ捨て駒扱いした10年以上前のあの頃と。」

「まぁ何とでもほざくがいいさ。この最終兵器は世界を壊滅させるものだよ。聞きたいか?」

 逃亡犯楠木が両目をぎらつかせ語ったところによると、最終兵器の名称はアメノヌボコ、兵器の概要は既存の極超音速滑空兵器を巨大化させ重硬化した一種の人口隕石、威力は100〜200m級の隕石の直撃とほぼ同じ、超音速なので迎撃は不可能、この最終兵器により地球を再び原初の混沌へと変える、とのこと。そんな兵器を本当に使えばクシナダヒメ、即ち篠田も無事では済まないとジョナが言っても逃亡犯楠木は聞く耳持たずクシナダヒメに信仰心があるなら必ず助かる、もし助からなくても転生し必ず自分のところに来ると世迷言を宣う始末。ジョナは改めて理解した、都心に小型核を落とし自分の仲間を含む大勢の命を奪っても良心の呵責が全くない外道に説得など何の意味も無いと。