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アスナショウコ
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【創作|馬軸】春雷-極光
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【創作|馬軸】春雷 伸長- 日盛りと鶏鳴
※支部からの転載版です。内容は変わりません。四話~六話収録。
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四月。桜が咲き誇る季節。そして春のGⅠ連続開催もあって大いに競馬が盛り上がる季節。
天皇賞・春まで残り一か月となった。私は自室の床に片手をつき、腕立てをゆっくりとしながら己の騎乗について今一度考えた。
馬の肉体に溶け込むような騎乗をし、極限まで無駄な動きを減らすことを心掛けてきた。京都競馬場で開催される今年の天皇賞・春__芝三二〇〇メートルの最長距離GⅠである。ロジェにとっても私にとっても未知の距離。今までのように逃げさせてくれるとは到底思えない。何せ異母兄であるラヴウィズミーがおるわけやし。
しかも彼は天皇賞・春を二連覇中で今年は三連覇がかかっている。既に『兄弟対決』というふうに煽られているだけでなく、あのシャルルを勝利へ導いた柳沢俊一騎手がラヴウィズミーの鞍上。注目されるには十分すぎる材料がそろった舞台になるだろう。
昨年クラシックで目覚ましい活躍をしたロジェ、そのロジェに迫りダービーを掻っ攫った芦毛の牝馬フジサワコネクト、そして連覇中のロジェの異母兄ラヴウィズミー。とんでもねえ豪華メンツのそろい踏みである。
……
私大丈夫やろかいな。ロジェはいい意味でマイペースやから、相手が何であれ泰然自若としているはず。けど鞍上の私といったら古馬の戦場には今まで足を踏み入れたことあれへんし、ぶっちゃけ経験不足も経験不足。
いやここで腰引けてたらあかん。あと一か月しかあらへんのに迷ってる場合とちゃうやろ。
「っしゃあ気合いやボケェ!! 騎手は度胸!! 馬も度胸!! ゲートが開いたらルパンよろしく一目散に逃げる!! 以上!!」
誰もいない自室に向かってシャワールームから叫び、下着姿のままキッチンに入って冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
そのまま風を切って飲み干せば、ふとちゃぶ台の上に置かれていたスマホの通知が目に入った。LINEではなく電話番号経由のメッセージ。発信者は『おやじ』。『春天がんばれ。観に行く』の文字が画面に表示されていた。
「
……
言われんでも頑張るわ。アホ」
なんとなく気合いが充填された気がした。スマホの画面を消して、私は荷物をバッグへ放り込んでいく。今年は忙しいのだ。春天だけじゃなく桜花賞やらもある。無論二度目の皐月賞も。あの日抱いた誓いを果たすために、私は今日も馬に乗る。
〝馬が誇れる騎手としての矜持〟
〝誰もこの馬の前を走ることは罷りならん〟
まずは明日の一戦をきっちりこなす。天皇賞のことを考えるのはその後でええ。私はそう思い、スマホの電源を切った。
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