DRRV11037
2025-06-13 12:11:00
28595文字
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DRRV: Prolonged 前編



付近にあった階段を降りたところ、その階の中心部は格子に囲まれていて立ち入ることができなかった。周囲をぐるりと回ってみると、また教室が見つかった。

「教室Aだ。下の階にあったんだね

「早速入ってみようぜ!」

榊くんが扉を開けた。


1-A


そこにあったのは、私たちが居たのと同じ内装の教室。そして二人の全く同じ顔をした少年だった。

「待て待て待てー!」

「あー!やめてー!」

一方が手錠を持ち、楽しげな笑い声を上げながら追いかけ、もう一方はぐるぐると必死に教室を逃げている。

「な、何してるの?」

私たちの姿に気付いたのか、手錠を持った方の子はぱたりと足を止めた。もう一方が隅でぜいぜい荒い呼吸をするのを一切気にかけず、こちらへ駆け寄ってくる。

「あっ、ハジメマシテ!」

「はじめまして二人はここで何してたの?」

「何って、そりゃ鬼ごっこだヨ!悪人を逮捕するんだ。」

「悪人?」

「うん!わるいわるーい犯罪者をネ」

隅に居る子を指さして言った。

「あいつはああ見えて怪盗なんだ。ちょっと目を離すと盗みをやらかすから、早く逮捕しないといけないの」

「ち、違うんですケド!怪盗はあっちで、俺は警察!」

「違うヨ!俺が警察であっちが怪盗なんだ」

「はぁ??」

すると目の前の男の子は、手錠を弄びながらにんまり微笑んで問いかける。

俺はどーっちだ?」

私と榊くんは顔を見合わせた。
「そ、そう言われても

目の前の子は眩しいオレンジのジャケットを羽織っていて、隅に居る子は緑の柔らかいパーカーを着ている。唯一言えるのは、隅っこの子のほうが不思議と年上のお兄ちゃんに見えることだけだった。

その大人びた彼が近寄ると、片割れを猫なで声で諭す。

「もう困らせちゃめっ・・だよ?君がその気になったら先生も友達も騙されちゃうんだから」

それから代わりに謝る。「エートごめんね?」

「ううん、全然大丈夫。むしろ答えが気になるかも」

「オレも!結局どっちがどっちなんだ??」

答え合わせとなると、ジャケットの男の子は俄然元気を出した。そして得意気に胸に手を当てる。

「ふふん、俺こそがすーぱー偉大な“超高校級の怪盗”、怪盗ELDERこと桜衣さくらい昼間ひるま!お天道様の下も歩けないのに昼間だなんて、皮肉でしょ?俺だぁい好きなんだ♡」

大きな黄色の瞳が半月の形に笑む。背丈が低くて表情も幼げで、悪戯好きの子供にしか見えないくらいだ。この子が色々な宝石や芸術品を盗むところだなんて、想像できない。

入り方が分からない。あっ!えと、警視庁特務課、“超高校級の警察官”こと桜衣さくらい夜深よふかです。ずうっとこの子を追ってるんだ」

桜衣昼間くんと桜衣夜深くん。そっくり同じ顔でそっくり同じ背丈、そっくり同じ苗字の二人。名前は対になっていて。あれ?もしかして。

「双子?」

「そ!俺たち双子なんだ」

「俺が兄で、昼間が弟。」

「兄が警官で、弟が怪盗。」

二人は肩を寄せあって微笑んだ。

「へぇ何だか漫画みてーな話だな!」

「ふふ、そうだね。怪盗ELDERは二年ほど前に現れた変幻自在、神出鬼没の怪盗。宝石や美術品を見境なく盗んでは逃げ去ってしまうっというのがテレビで定番の文句。」

「そーそーそんなカンジ!キラキラしたものが好きだから、いっぱい盗ってるんだ。夜深はそんな俺のことをいつもいつも無駄だと分かってるのにしつこく追いかけてくるんだよネ?」

「無駄じゃないデスー、偶には捕まえマスー」

「でも毎度必ず逃げられるじゃん!フーディーニも真っ青の華麗な脱出劇でさ」

くっ、やっぱりアキレス腱をぶち抜いて一歩も動けないようにするしかないかっ」

この双子見かけは子供っぽいのに、何だか怖いかも。わいわいと二人で盛り上がっている彼らを置いて、私たちはそっと去った。