DRRV11037
2025-06-13 12:11:00
28595文字
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DRRV: Prolonged 前編



貴方、誰?」

私は口を開いた。

誰、と言われても」

彼は一瞬目を逸らす。少し迷ったように頭をかいてから、すっくと立ち上がると、びしっと腕を広げてポーズを取った。

「オレの名前はさかきひかる。人間だッ!つーか、そう言うテメーこそ誰だよ?さっさと名乗──」

「そ、そっか、榊くん。ぁ、あの、あの子見てないっ?」

質問が先走った。矢継ぎ早に言葉を継ぎ足す。

「私、早く追いかけないと、あの子が心配でっ、」

「はぁ??見てねーけど、どんな奴?」

「それは──……

そこまで言って、私ははたと止まった。

言葉の続きには何も無かった。

何も思い出せない。

あの子がどんな見た目で、どんな声の持ち主なのか、どんな言葉を交わしたのか、どんな空気を纏っていたのかさえも、何一つ、頭の中に残ってはいなかった。

……………………。」

私は手のひらを持ち上げると、仄暗い光に透かして眺めてみた。指先が震えている。心臓は早鐘を打っている。息も同様に早い。それら全てが、たったいま残り香になったことが、分かってしまったのだ。

「“あの子”は置いといて、お前は大丈夫なのかよ」

榊くんと名乗る男の子に尋ねられて初めて、私は三つ編みを繕うように撫でた。

………大丈夫じゃ、ないかも。」

視線が不確かに揺れる。

「私、気付いたらロッカーの中にいたの。どうしてこんな場所にいるのか分からないし

「なんだ、じゃあオレと同じだな。」

彼はじっと私を観察する。ちょっぴり目つきが悪いけど、まっすぐで眩しい碧色だった。

「ここがどこなのかよく分かんねーけど女子一人じゃ危ないだろ?仲間なら、オレがバシッと守ってやる!だから安心して着いてこいよ」

「で。名前、なんていうんだ?」

榊くんは、にひ、と親しみやすい笑顔を浮かべた。
ふたりぼっちはひとりより遥かに心強く、とてもありがたかった。

私は四葉よつばゆい。よろしくね」