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DRRV11037
2025-06-13 12:11:00
28595文字
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DRRV: Prolonged 前編
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2F廊下
「
…
あれ?」
廊下に出たとき、ふとポケットに違和感を覚えた。
「どうした?」
「いや
…
ポケットにこんなものが入ってて」
取り出してみると、それは小型のタブレット型コンピューターだった。私のものではないけどね。
同時に私物のスマートフォンが無くなっていることも分かった。警察に通報させないために、モノクマーズが取り上げたのだろうか。
「あっ!オレも持ってるかもしれねーッ」
彼もごそごそとまさぐって、腰のポケットから同じ物を取り出した。
「モノパッドって書いてあるけどよ
…
こんな物、いつの間に入れられたんだろうな?」
「不思議
…
。」
起動すると私の名前が表示された。どうやらこれは私たち一人一人に割り当てられた、言わば
…
電子生徒手帳のようだ。
「捨てるわけにもいかないし
…
ひとまず、持っておいた方がよさそうだね」
「そうだな
…
。あっ、四葉!こっちにも教室があるんだな」
榊くんは扉に手をかけた。しかし開かない。
「鍵がかかってるのかな
…
?」
「そうみてーだ
…
教室Cはダメ、と。」
扉の上のプレートによると、ここは教室C。私たちがさっきまで居たのは、隣にある教室Bらしい。それならAも近くにあるだろうかと目を遣れば、向かいにも扉があった。ただし、他の教室は赤い扉だったのに、ここは違うデザインだ。
「
…
しかも開かない」
「探索ってなかなか上手くいかねーな
…
」
「うん
…
行こうか。」
私は堅い扉から手を離して、曲がりくねったがらんどうの廊下を行くあてもなく歩き出した。
開けた場所に出てからほどなくして、私たちは人を見つけた。壁際に設置された龍の像の足元に立つ、澄み切った白い髪の少女だ。彼女にはどこか並の人とは一線を画す神秘的なところがあった。後ろ姿なら少年と見紛うほどのショートヘアのせいかもしれない。もしくは、白襟に十字が刻まれた、深く清い黒のワンピースを身に纏っているのが、遠目には修道女のように映るからかもしれない。
「アイツ
…
ちょっと大人びてるけど、背丈は高校生だよな。」
榊くんはこっそり囁きかけた。
「そうだね
…
私たちと同じように、誘拐されてここに来たのかな。」
とそのとき、
「誰?」
少女が鋭い目つきでこちらを睨んだ。
「
………
誰なの?」
少女はもう一度問いかけた。その声色は上澄みこそひどく静かだけど、底には激しい疑心が渦巻いている。
「お、落ち着けよ。怪しいヤツじゃねー!」
榊くんは誤解を解くように両手を振った。少女はまだ警戒を緩めなかった。怪しいかどうかは私が判断するというように。
「
……
貴方たち、どこから来たの?」
少女が問いかけた。
「それが
…
分からないの。暗くて狭いところでいきなり目覚めて、外に出たと思ったら転んじゃって、知らない教室で。それで
……
帰り方も分からないし、家族に連絡できるものもないし、どうしようと思って。」
混乱した頭で必死に言葉を繋ぐうちに、だんだん弱音が表に出てきてしまったと気付いて、私は申し訳なさを覚えた。同じ思いをしたのはきっとみんな一緒なのに。
ところが少女から、ことのほか優しい声色が返ってきた。
「あら、そうだったのね。突然知らない場所に出て、何もかもがよく分からないという怖い思いをしたのね。可哀想に。ここまで来るのもさぞかし不安だったでしょう」
「うーん、そうかも。でも榊くんがいてくれたおかげで
……
」
そこまで言いかけてハッとした。
「あっ、自己紹介がまだだったよね!私は四葉結。こっちが榊光くんだよ」
「よろしくなッ、」
榊くんは相変わらず人の良い笑みを浮かべた。
少女が薄ら微笑んで応える。
「お二人ともはじめまして。私の名前は
天探
あめのさく
司織
しおり
。“超高校級のセラピスト”と呼ばれているの。どうぞよろしくね。」
天探さんの声は、良家の子女のような気品と冷気で彩られていた。加えて、不思議と頼りになりそうな年上の雰囲気があった。
「セラピストってどんな職業なの
…
?」
「簡単に言うと、人間の心と身体を調整する職業よ。
療法
セラピー
にはさまざまな種類があるけど、私は個人個人に合わせて選んでいるわ。アロマを焚いてリラックスさせたり、マッサージで身体をほぐしてあげたり、カウンセリングをしたり
…
あと、占いもするわね。」
「占い?」
何だか妖しげな響きだけど
…
これもセラピーのうちに含まれるのかな。
「ええ。宇宙の神秘や数字の秘密、カードの魔力
…
そういった根拠のない幻想を信じることで救われる人々だっているの。私は西洋占星術とタロット占い、手相占いを中心にしているわ。」
天探さんは冷たい青色の目を細めると、胸に手を当てた。
「どんな人間も、その心は脆く危ういものなのよ。怖くて悲しくて不安で仕方のないときは、どうか強がったり恥ずかしがったりしないで、いつでも私を頼ってちょうだい。きっと楽になれるから。」
数分後、私たちは天探さんと別れた。彼女はもう少し周囲を調べてみるらしい。
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