ちよど
2024-11-16 13:46:37
37826文字
Public わし様など
 

練習1P 300個記念企画短編化まとめ

#練習1P、のタグで書いていたもの。
このたび、読んでくださったみなさまのおかげで300個書けたので記念企画としていくつか短編化しました。
リクエストしてくださった方々ありがとうございました。

ご注意。わし様中心SS。節操なくCP混在しています。


 No.15 ビマヨダ 「あいつは人間だったんだ」 ※ビマさんが少しかわいそうです

■原文■

『人間を体験してみようクエスト〜!!』
 そうダ・ヴィンチちゃんに言われてシミュレーションに放り込まれた半神の英雄ビーマセーナはまわりを見回してため息をついた。
「ただの森じゃねぇか」
『ふふーん、そうだよ。だが今まで数多の新入り英雄を泣かせてきた森でもある。──今の君の能力は藤丸くんと同じだ。頑張って1日過ごしたまえ。幸運を祈る』
 ぷつりと切れた通信にビーマはまたため息をついた。守るべきマスターの身体能力を知るのにここまでしなくてはならないのだろうか。
「カルデアってのは馬鹿ばかりなのか。あのトンチキを俺より先に召喚しただけのことはある」
 呟いてビーマは森を探索し始めたが、余裕があったのはここまでだった。
 すぐ息切れする体。枝を折るのも一苦労する非力さでは小さな獣ひとつ捕まえられない。弱い肉食獣相手にすら隠れなければならない屈辱。挙げ句の果てに硬い木の実すら歯が立たない脆弱さに、ビーマはとうとう音を上げた。
「ダ・ヴィンチ!!これで夜を越すのは無理だ!!」
『藤丸くんはいつもやっているよ』
 その言葉に彼は悟る。これは人間に対する侮りを無くすクエストだったのだと。
 ──じゃあ、こんな非力さで俺と戦っていたあいつは。


■短編■

『人間を体験してみようクエスト〜!!』
 そうダ・ヴィンチちゃんに告げられて、シミュレーターに放り込まれた半神の英雄ビーマセーナはなんの変哲もない森に首を傾げた。
 それほど大きくはない森だ。木々は茂り、高い所に木の実が見える。近くにせせらぎの音は聞こえるし、小さな獣の気配もした。
「ただの森じゃねぇか」
『ふふーん、そうだよ。だが今まで数多の新入りを泣かせてきた森でもある。──今の君の能力は藤丸くんと同じだ。頑張って1日過ごしたまえ。幸運を祈る』
 ぷつりと切れた通信にビーマはため息をついた。
 ビーマだって半分人間である。今更『人間を体験』しなくても人間の事はよく知っていた。
 脳裏に宿敵の顔がよぎり、ビーマはそれを散らす。人間らしいといえばアイツだが今は関係ない。
 そんな事を考えながら、先ずは水場に来たビーマだが最初の難関に立ち止まった。
 近づけないのだ。
 先に来ていた獣たちがその場を退こうとしない。いつもならビーマが近づくだけで逃げ出していた鹿が角を振り立ててビーマセーマを追い払おうとする。
 仕方なくその角を押しのけようとしたビーマは、逆に払いのけられて地面に転がった。そのまま踏みつけられそうになって慌てて逃げ出す。
 初めての経験に心臓が割れんばかりに悲鳴をあげた。
 ──今の君の能力は藤丸くんと同じだ。
 今まで聞いたどの言葉よりも、それは恐ろしく心に響く。
 水場に近づけないなら木の実を取ればいい。木の実ならば他の獣に襲われることはないだろう。
 そう考えて、ビーマは木に登る。多少力が必要だったが、なんとか木の実を掴んだ──途端、足場にしていた枝が折れて空中に投げ出された。
 とっさに風を呼ぶがもちろん今のビーマに風は応えない。受け身も取れず地面に叩きつけられてビーマは呻いた。
 昔、百王子を木から叩き落とした事がある。あの時はこんな程度で何故泣いているのか分からなかったが。
 ──恨まれるのは当然だった。
 痛みを訴える体をこらえて、ビーマはやっと手に入れた木の実を囓り。吐き出した。この歯では硬い殻を割れず苦い皮しか口に出来ないのだ。
 ──そういえば、宿敵の男はどこに行くにも料理人を連れ歩いていた。
 それを贅沢だと笑っていたが、あれは『野山の食材を食べられるように加工する技術』を持ち歩いていたのか。
 食べられないということは、こんなにもひもじい。
 喉も渇いた。腹も鳴っている。森は夕暮れを迎え夜になろうとしていた。
 このまま夜になれば肉食の獣がやってくる。鹿にも勝てなかった今のビーマがどうなるかは分かりきっていた。
「──ダ・ヴィンチ。これで夜を越すのは無理だ!!」
 ギブアップに少女の声が笑った。
『早かったね。藤丸くんはいつもやっているよ』
 それがどれほどの偉業か今のビーマには実感出来た。
 これほど、半神と人間に差があるとは思わな………では、半神のビーマと対等に戦えていたあの男は。

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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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