ちよど
2024-11-16 13:46:37
37826文字
Public わし様など
 

練習1P 300個記念企画短編化まとめ

#練習1P、のタグで書いていたもの。
このたび、読んでくださったみなさまのおかげで300個書けたので記念企画としていくつか短編化しました。
リクエストしてくださった方々ありがとうございました。

ご注意。わし様中心SS。節操なくCP混在しています。


 No.11 カルヨダ、ビマヨダ 「おまえの初めてにはなれないのだから」

■原文■

「おまえは柔らかく飛ぶのだな、カルナ」
「比べるのも愚かだ」
 そう応えてカルナはドゥリーヨダナを強く抱きしめた。ふたりの足元にはストームボーダーの甲板が遠くに見える。
 サーヴァントと成ったカルナが空を飛べると知ったドゥリーヨダナが強請ったのだ。
 跳躍とは異なる滞空にドゥリーヨダナは子供のように笑顔で足をばたつかせる。
「子供の頃はただ恐ろしいだけだったが今は落ちてもなんとかなる。サーヴァントというものは気楽でいい」
「オレがおまえを落とすことなどない」
「知っている。例えだ、例え」
 そう言いつつもドゥリーヨダナの腕はしっかりとカルナにまわされている。幼い頃の飛行はよっぽど怖かったのだろう。
 ──ドゥリーヨダナのまわりに彼を連れて空を飛ぶような存在はひとりしかいない。
 カルナは遠ざかっているストームボーダーを見下ろした。
 アーチャー適正のあるカルナはバーサーカであるドゥリーヨダナより視力が優れている。甲板の影でこちらを見上げている紫の影をカルナはずっと捉えていた。
「ドゥリーヨダナ。空を飛びたくなったらいつでも言うがいい。オレはおまえが飽きるまでおまえの翼でいよう」
 カルナは続く言葉を飲み込んだ。


■短編■

「かるなぁ!! 空を飛べるとは本当なのか!?」
 きらきらと期待に目を輝かせて食堂に駆け込んで来たドゥリーヨダナに、大きな骨つきのタンドリーチキンに歯を立てていたカルナは手を止めた。
 頬張っていた肉をもぐもぐと咀嚼する。刺激的なスパイスが鼻腔を抜けていった。
 ラッシーに伸ばしたカルナの手をドゥリーヨダナが掴む。
「生前は空など飛べなかったではないかーっ!? なんでわし様に言わないのだ、ズルいぞ!!」
 揺さぶられてカルナは口の中の物を飲み込んだ。
 同郷の料理人が丁寧に作ったと分かる美味しさが喉を通り過ぎていく。
「ドゥリーヨダナ」
 彼が騒がしいのはいつもの事で、食堂にいる他のサーヴァント達も今更気にもしない。だというのにカルナは厨房からの視線を感じていた。
空を飛びたいのか?」
「飛びたいに決まっている!! お前ならわし様を落としたりしないだろう?」
 厨房で何かを落としたような音が響いた。それに構わずカルナは答えた。
「オレがお前を落とすことなどない」
 了承の言葉にドゥリーヨダナは子供のように顔を輝かせた。

 そうして、ストームボーダーの甲板に彼らは移動した。
 カルナはドゥリーヨダナを抱きかかえると跳躍する。背後の魔力炎を吹き上げると、あっという間にふたりは晴れた空を突き抜けた。
 ドゥリーヨダナが歓声をあげる。風がその紫の髪を乱暴に乱したというのに彼は微笑んだ。
「おまえは柔らかく飛ぶのだな、カルナ」
 誰と比べているのかカルナは聞かず、ただ足元から遠いストームボーダーへと視線を流した。
 そのカルナの首にまわされた腕に力が入る。
「子供の頃はただ恐ろしいだけだったが今は落ちてもなんとかなる。サーヴァントというものは気楽でいい」
「オレは落とさない」
「知っている。例えだ、例え」
 繰り返したカルナにドゥリーヨダナは笑って、風と雲が流れる空を見渡した。
 ──生前のドゥリーヨダナのまわりに彼を連れて空を飛ぶような存在はひとりしかいない。
 その彼は幼いドゥリーヨダナを怖がらせて落としたのだろう。それが故意だったのかはカルナには分からないが、彼が今でもそれを気にしているのは確かだった。
 アーチャー適性のあるカルナはバーサーカーであるドゥリーヨダナよりも視力が優れている。種子のように小さく見えるストームボーダーの甲板の影からこちらを見上げている紫の影をカルナはずっと捉えていた。
 その幼馴染の後悔はいくらでも今から挽回出来るものだというのに。
 長じてから知り合ったカルナには手の届かない過去。それに重ねるようにカルナは言葉を紡いだ。
「ドゥリーヨダナ。空を飛びたくなったらいつでも言うがいい。オレはおまえが飽きるまでおまえの翼でいよう」
 望むのなら空ぐらいいくらでも連れて行こう。無論落としたりはしない。何度何度空を飛んでも。オレは決して──

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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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