enoki181
2024-06-21 13:05:09
101489文字
Public リプレイ
 

【CoC】ラプラスの遺言(柑爾×巴)

PL:黝さん、エノキ(KP兼任)
シナリオ https://shirohappa.booth.pm/items/4503304


【十羅矢の回想】

KP:浮遊感と共に、甘い香りが漂う。
藤の花が風になびく世界へ、君たちは再び訪れる。

KP:不意に、君たちの持っていた日記が開く。
決して明かされなかったはずの真実と、彼の残した遺言が、ようやく明かされる。

KP:日記を通じて過去が巡る。
そして、あの未来の行く末すらも廻る。
頭に誰かの思考が流れ込んでくる。これは、十羅矢椎のものだろうか。

十羅矢 椎:沢山悩んだ。
突然の使命に。

十羅矢 椎:灰馬家は代々、悪しき人の手に渡ってしまわないように、円盤を守り続けてきたという。
幼い時に灰馬家を離れた俺は何も知らなかった。灰馬が、極道の一家だということだけを知って、忌避していた。
でも、そんなこと言っている場合では無い。

十羅矢 椎:巴は予てから、そういう悪しきものに好かれやすい傾向があるのだと言う。
だから、今回の件で、目をつけられる可能性は高いと言われた。

なら、やらない理由はなかった。

正当化するつもりじゃない、俺のすることは彼の人生を貶すことに等しい。

十羅矢 椎:薬は無事に飲んでくれた。何もなければいいのだが。

そういえば、巴とたまに喧嘩をしている金雀枝柑爾さんという方がいる。
偶然街中で喧嘩しているのを見た時は、ビックリした。舞台上でも、プライベートでも見ないような表情に。
仲が悪いのかななんて思ったけれど、どこか楽しそうにも見えてしまって……これは俺の胸にだけ秘めておこう。

十羅矢 椎:でも、ふと思ったんだ。
俺はもしかしてあの薬のせいで、お前のその当たり前の日常や幸せを、奪ってしまうんじゃないか、って。
巴にとっては、日々、一日歩いていく人生が一度限りで、俺や使命の物差しで測っていいものではない。
たとえ必要な事だったとはいえ、いくら正当な理由を述べたところで、事実は変わらない。

十羅矢 椎:なら、どうすればいい?
出来ることをしたい。やれることをしたい。彼の為になることをしたい。
そう思って、俺は協力者たる者たちにたくさんのことを聞いた。

十羅矢 椎:そして、辿り着く。
この争いの原点に、二つの神が座していることを。そして、それを止めるための手立てになる方法へと。

十羅矢 椎:かの神の招来には、とある戯曲が使われるらしい。
芸術には芸術を以て制すのだ。言葉や話芸に神をも動かす力があるのなら、神の力をしりぞけるのもまた、同じく言葉の力だ。

十羅矢 椎:そうして、俺は「黄衣の凱旋」に対抗すべく、話の台本を作り始めた。

十羅矢 椎:調べ物が必要だ。しばらくは家に篭ろう。連絡を取るのは、リスクを避けて控えよう。
これがあれば、巴の平穏も、色んな人たちの笑顔も守られる。急ごう。

KP:脳裏にある光景が浮かぶ。

十羅矢が机に向かい、ひたすらに文字を書き連ねていく。
日記帳だったはずのそれに、物語が紡がれていく。

KP:突如、景色にノイズが走る。

KP:玄関の扉が開く音。
十羅矢はハッとしてそちらを見た。

玄関先には、にっこりと微笑む牡丹華蛇がいる。
十羅矢の顔色が一気に青ざめる。

KP:「見つけました」

躊躇いもなく部屋に上がり込んだ男は、厚手の手袋を填めながら歩いてくる。

KP:「近頃の極道は無能が多くて、貴方に辿り着くような人はおらず……本当に困りますよねぇ」

十羅矢が息を詰める。

「さて、十羅矢君。私がここに来た理由、お分かりですよね?」

華蛇は少しづつ十羅矢に近づいてくる。

KP:触手を伸ばし、黙り込んだ十羅矢の首に巻き付けた。そのまま、ギチギチと容赦なく締め上げる。

十羅矢は突然の事にもがき、触手を引き剥がそうとする。

だが、人の力では敵わない。

KP:「よくあるじゃないですか。ありかを言え、みたいなやつ。必要ないので、このまま死んでいただきますね」

KP:「……あぁ、でも……貴方、落語家さんでしたか」
「でしたら、終わりもより悲劇的な方が面白みがありますかね?不可解な死よりも、なんでしたっけ……オチがあるといいですよね」

KP:「少しは華やかにしますから、安心してくださいね」
「あ、文句を受け付けませんよ。死人に口なし、ですから」

KP:ベラベラと笑顔で喋る華蛇は、最後に十羅矢に言う。

KP:「鈴鹿巴さん、面白い方ですよね。私もあの方の落語、好きなんです」

KP:十羅矢は、その言葉の真意を理解する。

それだけは、と告げようとした口は動かなかった。
十羅矢は事切れてしまう。

KP:それから、華蛇は日記に奇妙な魔術を施す。

彼の描いた物語を全て抹消し、在らぬ真実をつくりあげた。
ロープを用意し、緻密な方法と計画によって、自殺現場を作り上げる。

あとは、彼が大事に管理していた円盤を持って去っていった。

KP:そうして、真実は作られた。

……作られた?

いや、確かに君たちにとって、これが何よりの真実だった。

KP:だが、それは死者の最期の思いによって覆った。
ラプラスの悪魔が導いた、真実へ。

KP:…………