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pinopipi
2026-05-18 23:07:05
99483文字
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交錯する恋花にレクイエムを②
ヌヴィフリ花吐き病の話②/長編/捏造しかない/何でも許せる人向け/メタ発言注意/ほぼ地獄のターン/一部キャラ崩壊注意
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フォンテーヌ廷ヴァザーリ回廊、フリーナ宅。
ナヴィア、クロリンデ、リオセスリ、シグウィンは、ヌヴィレットの足取りに関する調査を終え、その報告のために集まっていた。
リビングのテーブルに、フォンテーヌとその周辺の地形が描かれた地図を広げ、それを囲んで皆真剣な面持ちで向き合う。
「皆に聞いてみたのだけれど、ヌヴィレットさんがフォンテーヌ廷を出た後、メリュシー村には立ち寄っていないみたい。巡水船にも乗らなかったみたいで
……
水中を泳いだのか、陸の上を歩いて移動したのか、はっきりとは分からなかった。メリュジーヌからの目撃情報は一切無かったの
…
。もしかしたら、敢えてメリュジーヌと鉢合わせないように気を付けていたのかもしれないわ。」
「ヌヴィレットさんがフォンテーヌ廷を出た日、歌劇場の近くで目撃情報があったわ。少し離れた場所から歌劇場やルキナの泉を眺めて、何かを考えている様子だったみたい。目撃者の話によると、ヌヴィレットさんはびっくりするぐらいラフな格好で、手には何も持っていなかったらしいーーーということは、たぶんフォンテーヌ廷を出た時の服装と同じだろうね。その後、北の方に歩いて行ったみたいなんだけど、そこからの足取りは掴めなかったわ
…
。」
「要塞の監視システムにヌヴィレットさんらしき人影は一切無かった。
…
これは水の下の管理者しか知らない機密情報だからあまり詳しくは話せないんだが、実はサーチライトの届かない場所も監視できるような特殊なシステムになっていてな。それでリフィー地区全体の水中の記録を遡ってみたんだが、やっぱり何も確認できなかった。だからヌヴィレットさんがその辺りの水中を通過、または滞在している可能性は低いだろうな。」
「ヌヴィレット様の辞任以降、あの方が歌劇場内に入場した記録はなかった。職員の証言からも、場内にヌヴィレット様らしき人影はなかったと。パレ・メルモニアの執務室内には手掛かりになりそうな物は何も無かった。上層階にあるヌヴィレット様の部屋はフリーナ様と共に調査したが、部屋全体に柑橘系の香りーーーーミオソティス・ミオマルクの香りが残っていた。私物は既に全て処分されていたものの、デスクの引き出しの中からは処分し忘れたと思われるミオソティス・ミオマルクが一輪と、先日発売された芸能雑誌の最新刊が一冊入っていた。フリーナ様が紹介されているページに折り目があり、おそらく
…
ミオソティス・ミオマルクの花言葉についてはこの記事にも書かれていたのでヌヴィレット様もご存知だったのだろう。
…
それから、不可解なことがひとつ。鍵付きの引き出しには何も入っていなかったが、僅かに草元素の痕跡と、ミオソティスではない別の花の残り香があった。おそらく異国のものだと考えられるが
……
他に手掛かりになりそうな物は何もなかった。」
皆が状況を報告し終え、フリーナは地図から視線を上げた。
「皆、たくさん調べてくれてありがとう。おかげで、かなり方向が絞れたと思う。」
フリーナは皆から寄せられた情報を頭の中で整理しながら、分析する。
「メリュシー村を訪れていないのはすごく意外だったけれど
……
ヌヴィレットはおそらく、フォンテーヌ廷を出て真っ直ぐ歌劇場の方へ向かったんだろうね。目的は分からないけれど、彼にとってはかなり思い出深い場所だからかな
…
?シグウィンの言う通り、敢えてメリュジーヌに会わないようにしていた可能性はあると思う。彼女たちには特殊な力があるし、ヌヴィレットとは特別な繋がりがあるからね。病について彼女たちに知られてしまうことを恐れていたのかもしれない。」
フリーナは現時点で明らかになっているヌヴィレットの足取りを地図上へ直接書き込み、訪れていない場所にはバツ印を赤のインクで記入していく。
「歌劇場から北の方角に向かい、リフィー地区には行っていないようだから、そのまま北に進んだか、途中で東の方に行ったか
……
。うーん
……
ヌヴィレットに縁のある場所は
……
巡水船は使っていないからポート・マルコットには訪れていないだろうし
……
ウィーピングウィロー
……
ウラニア湖
……
更に北だと科学院か
………
」
フリーナは地図と睨み合いながら独り言のように続ける。
「彼が何も持たず身軽な状態だったのなら、公爵が本人から聞いた『旅をする』っていうのは、やっぱり嘘の可能性が高い。最高審判官を続けられないほど彼の病状が深刻な状態だと仮定すると、国をいくつも跨ぐ長距離の移動は難しいだろうね。乾燥した地域は彼の体力を奪うから、そういった場所に行くことは考えにくい。それなら水中か、或いは湿度の高い陸地や水辺に居ると考えるのが自然だ。そうなるとだいぶ条件が絞られてくるね。それに彼は元々プライドが高いから、他人に弱みは見せないようにすると思う。これ以上の目撃情報がないということは
……
つまり彼は今、誰の目も届かないような場所に隠れているんじゃないかな
…
?」
そこまで分析して、フリーナはペンを置く。
「
…
それと、ひとつ気になるのは、ヌヴィレットの部屋にあった草元素の痕跡とミオソティスではない異国の花の香りだ。そもそも草元素はヌヴィレットにはあまり縁がないように思う。草元素といえばスメールだけど、彼がスメール人と交流する機会は今まで無かったはずだ。
…
そうだよね?クロリンデ。」
「はい。フリーナ様が退位されてから、ヌヴィレット様が公務でスメール人と関わる機会は無かったように思います。この3年間は主に、予言後の復興に関わる政策や、フォンテーヌ人の体質変化による医療体制の整備、そして科学院と共同で行われた諭示機に替わる装置の開発に注力されていたため、そもそも外交の機会はあまり多くありませんでした。」
「
…
確かにあの人の口から外交やら他国の知り合いの話は全然聞いたことが無いな
……
。しかも忙しい割にしょっちゅう要塞までお忍びで来て、看護師長や俺にフリーナ様トークをブチかましてたもんなぁ
……
。もしかして、他に友達いないんじゃ
……
」
「もうっ!公爵ったら、ヌヴィレットさんに失礼でしょ!めっ!!」
リオセスリの脇腹へ、シグウィンの肘打ちが綺麗にキマッた。リオセスリは「ぐぇっ」と声を上げ、脇腹を押さえながらその場でうずくまる。
ナヴィアは「うわ
…
痛そ
……
」とドン引きながらも、話を戻した。
「
…
もしかすると、その草元素と異国の花に何か手がかりがあるかもしれないわね。」
「うん、僕もそう思う。
…
でも、今からそれを調査するとなるとかなり膨大な時間が掛かってしまう
…
。何せ、ただの痕跡だからね。それは保存が難しいし、時間の経過でいずれ消えてしまうだろう。そうなると調査が難しくなる。もしヌヴィレットがその間に死んじゃったりなんかしたら、僕はっ
……
」
フリーナは今後の調査の進め方や優先順位について悩み、表情を歪め、頭を抱えた。やはり、ヌヴィレットがいる可能性のある地域を手当たり次第捜すしかないのかと思ったーーーーーその時。
玄関から、呼び鈴が鳴った。
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