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pinopipi
2025-11-09 16:05:18
57241文字
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交鎖する恋花にレクイエムを①
ヌヴィフリ花吐き病の話①/長編/捏造過多注意/何でも許せる人向け/地獄→ハピエン/2026.05.加筆修正
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朝日がカーテンの隙間から差し込み、その眩しさでフリーナは目を覚ました。外からはカンムリガラの鳴き声と、これから学舎へと向かうであろう子供達のはしゃぐ声が聞こえる。
全身が鉛のように重く怠い。喉はカラカラに渇いて声が出ない。吐きすぎたせいか唾液を飲み込むだけで激痛がした。
起き上がる気力は全くと言っていいほどない。なので、目だけをゆるりと動かして寝室内を見渡した。
辺り一面、自身が吐き出したロイヤルブルーが広がっている。
…
ものすごい量だ。まるで海原のようだと、どこか他人事のように思った。
…
だが、その青が所々不自然に赤黒い何かで汚れていることにふと気付いた。フリーナは自身が纏っている淡いブルーのネグリジェに目をやる。すると、まるで何者かに刃物で滅多刺しにされたかの如く、前面が血塗れになっていた。
これによりフリーナは、自身があの激しい発作で花とともに血を吐いたのだと理解した。
…
なんだか胸も腹も痛いような気がしてきた。
シグウィンは確か、抑制剤のことを『強いお薬だから、肝臓にとっても負担が掛かる』と言っていた。過剰な量を一度に内服してしまったことで内臓がかなりダメージを受けているのかもしれない。
「
………………
」
フリーナは考える。おそらく病状的にはかなり深刻であるというのに、不思議と頭は冷静だった。
結果としてフリーナは今回の発作では死ななかった。発作中はさすがにしんど過ぎて、もうだめだと思ったのに。だが、これはきっと、ただ運が良かっただけだ。今は全身がボロボロの状態で、多分もう次はない。身体に負担がかかる抑制剤も、暫くは内服しない方が良さそうだ。
そしてフリーナは確信する。自分はもう、あまり長くないのだと。
それならば、あの日ノートに書き殴ったシナリオ通り最高のフィナーレを完璧に演じなければと、フリーナは自身を奮い立たせた。
……
ただ、少しだけ修正の必要がある。
フリーナはゆっくりと起き上がり、ふらふらと覚束ない足取りでデスクへと移動した。引き出しの鍵を開け、ノートを取り出す。その最後のページを開き、あまり力の入らない手で懸命にペンを走らせた。
完璧なフィナーレを迎えるため、フリーナが新たに修正を加えたシナリオはこうだ。
まず、食事や休息を徹底的に管理し、この弱りきった身体を短期間で可能な限り回復させる。発作を起こさないよう、なるべくヌヴィレットのことは考えないように努力する。回復期間中はもちろん、ヌヴィレットとは会わないつもりだ。
それから頃合いを見てヌヴィレットを呼び出し、彼ーーー架空の想い人とともに璃月へ行くことと、フリーナの恋は叶うから安心してほしいことを伝える。それからヌヴィレットへ彼女に告白をするようフリーナが背中を押して、彼の恋を叶えさせる。両片想いだった彼らはようやく想いを通わせ、めでたく病も完治し、ハッピーエンドだ。
念のため、ヌヴィレットと会う前に最後の抑制剤を内服するつもりだ。フリーナの架空の恋が順調であることを示すため、体調が良いことをアピールしなければいけない。それに、ヌヴィレットが彼女と結ばれることを心から祝福したいから、少しでも元気でいたい。
ヌヴィレットの完治を見届けた後、フリーナは本当に璃月へと旅立ち、現地の人との交流を避けながら極力人目に付かないよう静かに生涯を終える。元より璃月を選んだのは友人の胡桃ーーー往生堂の堂主がいるからだ。
…
そう、胡桃にお願いして秘密裏に弔ってもらう予定だ。
このシナリオ通りに事が運べば、ヌヴィレットはフリーナが異国の地で愛する男と共に幸せに暮らしているのだと信じてくれるだろう。本当は病で亡くなっていることなど露も知らずに。
幸いなことにヌヴィレットは立場上、フォンテーヌを離れる機会が極めて少ない。万が一、外交等で璃月を実際に訪れるようなことがあったとしても、常に忙しい彼の滞在時間はかなり限られているだろう。様々な人で賑わう璃月港でフリーナを探し出すことは難しい。そして彼が疎遠になったフリーナの死を知る頃にはきっと、フリーナが天寿を全うしたのだと思ってくれるはずだ。
シナリオの修正がひと通り終わり、フリーナは ふぅ
…
と息をついた。
ーーーー予定より早めにフォンテーヌを去ることになっちゃったけれど。
…
大丈夫、きっと全てが上手くいくはずだ。
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