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pinopipi
2025-11-09 16:05:18
57241文字
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交鎖する恋花にレクイエムを①
ヌヴィフリ花吐き病の話①/長編/捏造過多注意/何でも許せる人向け/地獄→ハピエン/2026.05.加筆修正
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それから1時間後。エピクレシス歌劇場からパレ・メルモニアへと戻ったヌヴィレットは、午前に執り行った審判の内容を記録していた。
…
だが、あまり集中できていなかった。思い返すのは先程の彼女との会話である。
審判後、ヌヴィレットが小休憩を取ろうと控え室へ向かおうとしたところ、上流階級に属する年若い女性から妙に熱の籠った声色で話しかけられた。だが、その時ヌヴィレットが連想したのは少々面倒な相手ーーーそう、メロピデ要塞から幾度も執拗に怪文書を送り付けてくる某純白のスズラン嬢のことだった。よって、いつものようにさらりと受け流しその場から早急に立ち去ろうとしたのだが、彼女は重たいドレスの裾を蹴飛ばしながら必死に追い掛けて来た。
「わたくし、フリーナ様の大ファンなのです!」
彼女から突然放たれた自身の想い人の名に反応し、ヌヴィレットは反射的に足を止めた。振り返った時には既に追い付かれてしまっていたため、あまり気乗りはしなかったがとりあえず話を聞いてみることにした。
どうやら彼女は450年程前にフリーナが主役を演じた劇について調べて回っているらしく、当時実際に観劇した唯一の存在であるヌヴィレットの感想と考察を聞きたい、とのことだった。通常であれば公平性を保つべく、正式な手続きを経ていない者を勤務時間中に相手にすべきではない。しかしヌヴィレットは彼女の顔に見覚えがあることにその時やっと気付いた。彼女は以前フリーナが出演した舞台だけでなく、監督や脚本家として携わった舞台にも欠かさず観劇に訪れていた。ヌヴィレットはその様子を何度も観客席で見かけたことがある。よって、彼女は甘言でヌヴィレットに取り入ろうとするような者ではなく、本当にフリーナの大ファンであるのだと判断した。
それに、ヌヴィレットは500年程前からフリーナの舞台を観劇し、今やフォンテーヌで最も古参のファンである。同じフリーナのファンとして彼女の並々ならぬその熱意に共感し、無碍にはできなかった。
ヌヴィレットは彼女が求めた通り、その劇について感想と考察を述べた。すると彼女は目を輝かせ、懸命にメモを取りながら更に質問を重ねた。
それから自然に話題は移り変わり、彼女はフリーナの演技の素晴らしさについて語り始めた。それはヌヴィレットも共感する部分が多く、気付けばヌヴィレット自身もつい熱く語ってしまった。
そして15分ほど話し込んでしまい、ヌヴィレットは小休憩を取ることが叶わなかったが、推しについて同志と語り合う時間はとても充実したものであった。
しかし、フリーナを語る彼女の瞳には別の意味の熱も籠っていたことに気付き、ヌヴィレットは恋敵が年齢や性別を問わず存在することを思い知る。
このように、フリーナは広く民から愛されている。相手は璃月人だと聞いているが、きっとその者もフリーナのことを知れば好きになるに違いない、とヌヴィレットは思った。
…
ふと我に返り、フリーナに会いたくなった。
ペンを持つ手が完全に止まる。フリーナは今、何をしているだろうかと、ぼんやり考え始めた。
するとその時、外からポフポフと可愛らしく扉を叩く音が聞こえた。
…
メリュジーヌの誰かだろうか。ヌヴィレットが「どうぞ」と入室を許可すると、扉の向こうから顔を覗かせたのはーーー受付のセドナだった。
「失礼します。ヌヴィレット様、フリーナ様からのお手紙をお持ちしました。」
「
…
!ありがとうセドナ。受け取ろう。」
今まさに思い描いていた人物からの手紙に、ヌヴィレットは浮き足立った。
手紙を受け取り、セドナが退室した後、ヌヴィレットはすぐさまそれを開封する。
そこに書いていた内容は。
「そうか
……
数日会えないと。
…
仕事だろうか?あまり無理をしないと良いが
…
。」
ヌヴィレットは、しゅん
…
と肩を落としながらも、便箋を丁寧に封筒へ戻し、懐へと大切に仕舞った。
そして作成中の書類へと再び視線を戻し、ペンを走らせた。
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