碧月
2026-01-28 20:55:17
14637文字
Public 満月の裏側
 

満月の裏側(1)




「和室の押し入れにあった簪、ですよね」
……そうだ。おかしいと思ったのは、俺がお前の髪に簪を結わえようとした時だ」
レオナが答えた。
「俺も気が付きましたよ。……俺の髪には、その簪の軸は短すぎる」
「そうだ。通常、これは、女性が持つものだ。だから、俺は最初、写真に写っている女性のものだと思った」
写真には、男性と女性、男の子が写っていた。
「こんなもの、父親が持つとは思えませんし、そもそも、男の子は坊主でしたもんね。挿す髪がありません。俺も、それを見た時、消去法で女性のものだと思いました。でも……この女性には、この簪は短かった」
「女性はお前と同じくらいの髪の長さだった。……お前が短いなら、あの女性にも短いだろうな」
「そもそも、あの女性に、この簪の雰囲気が合うとは思いませんし」
ジャミルは、ため息混じりで答えた。確かに、写真に映る女性が持つものとしては、鼈甲風の軸は、安っぽい雰囲気だと思う。

「昔貰った思い入れのある贈り物だった、という線はないか?」
「それにしては、簪自体が真新しすぎますよ。あと、来客用の部屋にわざわざ隠しておく意味が分かりません」
……確かに」
レオナは、頷いた。

「違和感は、出揃ったか。この三つの違和感を総合して考えると、見えることがある。それは……
「俺に答えさせてください。この家の違和感は」

父親が女装趣味だった

4人目の家族が存在していた

猫を飼っていた