ぱら子
2026-01-13 10:45:37
26376文字
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愛があるが故に

【ルカキリ】現パロで催眠術掛けられる🕯の話がやりたかった



「ん?」
気が付くとフリンズは住んでいるマンションの玄関前にいた。
部屋で仕事をしていたはずなのに、空は夕焼けに染まっているしいつの間に外に出たのだろうか。記憶が全くないが疲れすぎて忘れただけかもしれない。そう思ってドアを開けて入るとキッチンの方から音が聞こえた。
覗いてみると休日でもないのにファルカが料理をしている姿があった。ファルカは視線に気付くと、手を止めてフリンズをハグする。
「おっ!おかえりフリンズ〜。散歩にでも行ってたのか?」
「ただいまです。ファルカさん、お仕事は?」
「ん〜?アイツらが、ちゃんと嫁の所に帰ってやれって俺の仕事を持っていきやがったからよ〜。有難く頂戴して帰ってきたのさ」
優秀な部下を持つっていいねぇ、と鼻歌まじりに言うファルカにフリンズは頬を紅くする。
「嫁と言われましても、僕は男ですよ。まだ貴方と婚姻もしていませんし……
「近い内にするんだからいいだろ。ほら、あとこのハンバーグを焼いたら完成だぞ!」
ファルカは形を整えたハンバーグが二つ並んだフライパンをコンロに置いて火をつけた。
「あ……
揺れる炎がフリンズの目に映る。
………せ》
幻聴が聞こえてくる。
……ろせ》
目から光が消え、足が勝手に動き出す。
《その男を──》
「(ファルカさん、を……)」
カウンターに置かれた包丁に手が伸びる。ファルカは別の作業で背を向けていて気付かない。
《殺せ》
「(……ころ)」
「なぁフリンズ〜。大皿ってどこだったか?」
ファルカの声にフリンズの目に光が戻る。包丁を握っていた自分の手を見て驚いたフリンズは咄嗟に離したがカウンターの端だったせいか、音を立てて床に包丁が落ちた。
音に気付いたファルカも振り向き、フリンズの足元に転がる包丁を見てすかさず駆け寄る。
「フリンズ!大丈夫か!?怪我してないか!?」
「大丈夫です。すみません、その、手が滑ってしまって……
「良かった〜お前に怪我がなくて。俺の置き方が悪かったのさ、すまん」
ファルカが落ちた包丁を拾って安全なシンクに置き直す中、フリンズは自分の右手を左手で握る。どちらの手も震えていてフリンズの動揺を表していた。
「(僕は、ファルカさんに……何をしようと……?)」
包丁を握るまでのことが思い出せない。自分はどうしてしまったのか。フリンズが包丁を落としたのに、自分が悪かったのだと言うファルカの優しさに胸が苦しくなる。
今にも泣き出しそうな顔で俯くフリンズをファルカは心配そうに見つめた。
その日の夜、一緒のベッドで横になりながらフリンズに話し掛ける。
「フリンズ、ここんとこ体調でも悪いのか?」
「そうですね……体調不良というかただの疲れだと思っていたのですが、最近少し頭がボーッとしてしまうことが何度かありまして」
「そうか……。一度病院で診てもらったがいいんじゃないか?先生に話つけとくぞ」
「ふふ、心配してくれてありがとうございます。でも僕は子供ではないですから病院にくらい、一人で大丈夫ですよ」
「ははっ、そうだったな」
二人で笑い合うこの瞬間はファルカにとってもフリンズにとっても幸福に満ち溢れていた。また、こういう時は互いの熱をもっと欲しくなってしまうことが多い。
「なぁ……
「おや、明日もお仕事では?」
「一回だけならいいだろ?」
「貴方の言う一回が一回で済んだことはあまりない気がしますが、いいですよ。僕も今夜は貴方が欲しいです」
熱を孕んだ目で見つめるフリンズに、ファルカは陶磁器を扱うかのような手つきで彼の寝間着のボタンに手を掛けた。