くぼたむすぶ
選ぶのは最適解になる言葉林檎は赤いそれだけのこと
【選評コメント】
★最適解を考えながら言葉選びをするタイプの誰か。悪いキャラか、理屈っぽいキャラか
…。「それだけのこと」の冷めた感じが好きです。何のキャラの歌かとても気になりました!──石ころ
●正しいけれど、それでも、それでも!と手を伸ばしたくなる、どんなキャラなんだろうと気になります
…!──てくてく
●個人的には「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」かな、と思いました。冷静で頭脳派な作中主体の笑みが浮かんできました。──月ノ華
●「林檎」「赤」という言葉も、誰かがその言葉を「選択」した結果。選ばれなかったものは夢や幻と変わりない。存在しないものを描くことで、逆に、選択したものの輪郭が浮かび上がってくる。そんな歌だと感じました。──おかのきくと
●誰も否定しようのない客観的な事実を言葉として選ぶ、ということは、腹の底には全く別の思いが隠されている証のように思います。結句「それだけのこと」は自分に言い聞かせているような抑圧的な雰囲気もあり、いつか主体は最適解ではない言葉を選んでしまう日がくるのかな、と思いました。──ゆの
●主体は、言葉がたくさん浮かぶ中で、最適解をどうして選ばなくちゃいけなかったんでしょう
…林檎が知恵の実に関係するなら、知らせたくない知恵や真実を教えるか迷った末に教えたということなのでしょうか。
「一番単純で突き放す言葉を選んだ」ように思える「それだけのこと」がなんだか切なく思いました。──四月
●「最適解」「それだけのこと」と簡潔に割り切る様子から、主体は人ならざるものに近い存在なのかな、と感じました。──toico
●この歌からは拒絶のニュアンスを感じます。わかってもらえるとは思わないし、わかられたくない、というような。自分自身にも言葉を受け取る相手にもあらかじめ諦めを抱いている、そんな雰囲気を受け取りました。林檎は赤い、確かにそれは林檎の性質ですが、林檎は丸いし甘いし、赤くない林檎だってある。林檎は林檎である、そうとも言えるのに。一つの面をばっさり言い切るのは、理解のために言葉を尽くすのは自分のすることではないと主体が思っているからでしょうか。──池田いくら
●主体は人間関係やコミュニケーションを冷めた目でみており、こなすべきタスクみたいに思っていそうですね。今までそれでうまく世渡りしてきた印象を感じました。──谷澤
●原作の具体的なシーンというよりは登場人物の生き様のようなものに基づいた歌なのかなと想像しました。合理性とシンプルさを信条としているような
……とても気になる"私"です。
具体的に読んでいくと、〈林檎は赤い〉は〈それだけのこと〉と言い切れるのかというところが気になりました。林檎は赤さ以外にも様々な要素を持っています。それを〈それだけのこと〉と言い切るのは、“私”のなかでそうだからなのか、それともあえてそう言い切っているのか
……上の句を「最適解になる言葉以外は切り落とす」と読むのであれば、あえてそう言い切っている方でしょうか。〈それだけ〉とは限らないと知りつつ〈最適解〉のために〈それだけ〉以外を切り落とす”私”をイメージします。
言葉の連なりがなめらかで、まるで”私”の登場シーンの台詞のような印象でした。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
アイドルマスターSideMのC.FIRSTというユニットの眉見鋭心をイメージしました。
彼は過去の自分が犯した罪により、人とコミュニケーションを取る際に相手が一番望みそうな言葉を選んで伝えてしまう癖がついています。それだけでは関係を築けないということにまだ気づいていない部分と、彼がよく話題にしている果物を絡めて歌にしました。
真面目で名前の通り鋭くまっすぐな彼の危なっかしいところが応援したいところでもあります。──くぼたむすぶ
許せない言葉の波が押し寄せて座礁していく二つの心
【選評コメント】
★「許せない言葉」は互いに向けて発したものなのか、それとも全くの他者から投げかけられたものなのか。波によって削れていく砂浜、次第に心もとなくなっていく足もと、為すがままにされていく心などを想像で重ねながら読みました。──toico
★初句切れで読むか、句切れなしで読むか迷いましたが、初句切れで読ませていただきました。荒れ狂う言葉の波の暗さと暴力性、そして翻弄される恐怖が「座礁」という言葉ひとつで見事に表現されていると思いました。二つの心は対立する心情でしょうか。許せない心と信じたい心、何かひどい裏切りがあったのだと想像します。「座礁していく」と現在進行形にしていることで、刻々と砕かれていく生々しい苦しみが伝わってきました。臨場感と迫力が素晴らしいです。──ゆの
●コントロールできない感情が溢れ出す直前の緊迫感が胸に迫ってきました。
溢れ出す感情を海に関する言葉で例えることで決壊直前の緊迫感が伝わります。──海月雪夜
●「許せない」のは、自分のことか、誰かのことか
……。それとともその両方なのか。全てがしっちゃかめっちゃかになって、ついには「座礁」してしまった。もうどうしようもない悲しみ、複雑なやるせなさを感じました。──おかのきくと
●二つの心
…というのがキーポイントのように思います。二人分の人生を背負っているのか、譲れない決意のようなものが二つあるのか
…原作との答え合わせが楽しみです。言葉の波が押し寄せて、溺れる、ではなく、座礁する
…というのも印象に残りました。陸に上がった船はどうなるのでしょうか。──四月
●二つの心は、ひとりの中にある相反する心のことか、それとも登場人物がふたりいるのか、によって異なる景が浮かびます。「座礁していく」と実感の伴った修飾があることから、ひとりの心が描写されているのではと思いました。──池田いくら
●「許せない言葉」はどんな言葉だろう?座礁してしまえば何度も何度も波に打ち寄せられ逃げられず身をすり減らします。長く続く辛さから「許せない言葉」は大切な人・信じている人から投げられたのかなと切なく思いました。「二つの心」はその人を大切に・信じたい気持ちともう大切に・信じることが出来ない気持ちなのだと思います。その強い憤りと諦観のような感情が「ゆるせない・ことば・ふたつ・こころ」の表記が一つでもひらがなであったなら少し揺らいでいたと思うのでひらがなにしないチョイスがすてきです。歌の芯を確かにしていると感じました。──山と森と街
●二人の関係性が気になる歌でした。「座礁していく」とあることから、きっと二人はうまく通じ合うことができていないのだろうなと思います。
いろいろ言いたい事がある時や言いたくもないはずの言葉が口をつきそうになる時の、言葉が波のように押し寄せる感覚も、その波に対する心のモヤモヤや違和感を座礁と表現するのも、とてもしっくりくる表現で。すごい、と思いました。──有
●〈許せない言葉の波〉に〈座礁していく〉と続くのが、ああそういう”私”なんだと印象的でした。許せなさから攻撃に転じるのではなく、〈座礁していく〉=どこにも行けなくなるんだと。許せないけれど、その許せなさを積極的な行動で示すことはできない、しない。深く静かに打ちのめされている“私”を想像しました。
〈二つの心〉を初読では「二人分の心」と受け取り、「どこにも行けないけれど一人ではない」「二人いるけれどどこにも行けないまま」の両方を思って果てしない気持ちになったのですが、何度も読むうちに“私”一人のなかに二種類の感情や思考があるという読み方もできるなと思いました。二種類あっても〈許せない〉も〈座礁していく〉も変わらない、むしろ二種類の間に葛藤があればこそ〈許せなさ〉に対抗することができずにいるのかもしれない、と。“私”あるいは“私”たちの明日が明るいものでありますように、と思います。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
アプリゲームの「リンバスカンパニー」より囚人番号7番ヒースクリフと8番イシュメールの二人の関係性を詠みました。
作品の序盤からよく衝突している二人ですが、場面によっては気遣うようなことができるような変化を見せてきました。その二人がいざこざを起こし、殴り合い、互いの触れてはいけない部分を傷付け合う様子が現在ゲーム内で描かれています。(次章の更新が11月に入ってからなのでこのコメントを書いている今は二人の関係が悪化したまま物語が止まっています。)
仲間たちと船に乗って進む湖の上、その船が座礁してしまうような不安定な関係を表現できればと思いました。──くぼたむすぶ
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.