隙間
届かぬとわかっていても赤い目は「お前」を探し乾いたまんま
【選評コメント】
●「赤い目」は語り手の瞳の色のようにも、何かを探し疲れて、充血したまなこのようにも読めます。その悲痛さ、声に出せない叫びに、惹き付けられました。しかも、自分の存在は相手に届かない。ままならなさすぎます。──おかのきくと
●この赤い目というのが上の句では泣いて充血しているのかと思っていましたが(もしかしたらそうでもあるかもしれませんが)下の句では探し続けて瞬きもしていないほど乾いているからなのか
…と、さらにいい意味で苦しい気持ちになりました。主体の執念や「お前」への想いがひしひしと伝わってくる歌です。──四月
●目が乾くほどに見開いて、血眼になって誰かを探しているのでしょうか。「届かない」とわかっていても探さずにいられないほど、「お前」は主体をとって大切な人物なのでしょう。自嘲しているような口調もまた「乾い」ていて、ヒリヒリした空気感が出ていると思いました。──ゆの
●赤い目が元から赤かったのか、血眼になって探すという言葉があるように、乾いて充血したことによる結果だったのかが気になるところです。「届かぬ」は ”目が届かない” の管理が行き届かないという意味よりは、探し当てることができないという意味で受け取りました。──池田いくら
●〈届かぬ〉は比喩として読みました。届かない、追いつけない、同じステージには立てない、対等ではあれない。それでもなお「お前」を探してしまう。また〈乾いたまんま〉は涙を流さないことの謂いかなと想像します。〈赤い目〉はシンプルに”私”の身体的特徴かなと思いますが、「かつては泣いていた(から赤くなった)」という想像もできると思いました。
最初に読んだとき、〈届かぬ〉けれど〈探し〉はできるんだなと思ったのですが、視界から外れた「お前」を探し続けているのかもと思って苦しくなりました。〈まんま〉から長い間探し続けている(この後もすぐに決着が付くことはなさそう)という印象があり、〈探し〉もあまり近い距離では成立していなさそうだなと。
“私”と「お前」のライバルのような、けれどライバルというには圧倒的に届いていない関係性を苦しく思いながら眩しくも感じます。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
作品名:僕のヒーローアカデミア
僕のヒーローアカデミアより相澤消太が学生時代にとても親しかった友人の一人白雲朧へ抱く想いについて詠みました。
(この先はネタバレの要素を含むため、ヒロアカを途中まで履修中の方はお気をつけください
…!)
白雲は学生時代ヒーローインターン中にビルの倒壊に巻き込まれ、亡くなってしまいます。
ですが、相澤そして同じく仲の良かった山田ひざし(プレゼントマイク)は何年も経ったある日とある場所に呼び出され、白雲朧の死体をベースに作られたヴィランが存在することを知らされます。
その存在は、敵連合の重要人物の一人「黒霧」だったことが判明します。
以前ふたりは黒霧と戦ったことがあり、まさか白雲であるとは誰もが予想し得なかったことでした。
相澤の個性(異能)は見つめている相手の個性を抹消することであるため、白雲が強制的に発動させられている個性を取り除くことができたら、彼を救うことができるのではないだろうかと抹消を試みます。
相澤の個性は発動中目が赤くなると言う特性があるのですが、作中で目が赤くなっていたのは個性を発動していたからなのでしょうか?それとも
…
この歌は、山田が必死に個性を使って白雲を救おうとする相澤消太に「大丈夫か」と声をかけるシーンがあります。
相澤は真っ赤な目をしたまま「乾いてしょうがねェよ」と返答したところをベースにして詠みました。
届かないと心のどこかで思いながらも、届くと期待をしているふたり。
モヤの中に白雲がいると信じ、今も探しています。(39巻現在)──隙間
紡いだBPMは150 俺らの日々を映したすべて
【選評コメント】
●BPM150を速いと見るか、遅いと見るか。読み手が聴いている音楽によって、意見が分かれます。(ボカロが好きな私は遅いと感じます)それによって、語り手が過ごした日々の印象も変わる。自由な歌だと感じます。──おかのきくと
●BPM150、アップテンポなポップスなどに良いリズムと感じていますので、青春の疾走感を感じます。気になっているけど見れていない「ぼっち・ざ・ろっく!」かな?と予想したりしました。
「BPM」の6音や「150」の5音を綺麗に嵌める発想も、映画のキャッチフレーズのような下の句も素敵です。──四月
●BPM150の曲がどのくらいの速さか調べてみたら、ランニングにおすすめと出てきました。その速度、テンポが「俺らの日々」。躍動感や少し上がった息遣いが感じられる表現が素敵だと思いました。──ゆの
●4/7/5/7/7のリズムで読みました。一分間に150拍は忙しない感じの曲のイメージかなと思ったので、こちらの歌では一音分の余白があるのがなんだか不安定というか、不思議な感じがしました。既存の曲に日々の全てを投影するのは難しそうなので、下の句からすると主体の自作の歌かな〜と想像します。──池田いくら
●〈BPM〉=Beats Per Minuteとは、音楽などでの一分間あたりの拍数のこと。ただし、たとえば音楽の中でもクラシックであれば「テンポ150」や「アレグロ」といった言い方をするイメージがあり、バンドのような方向性をイメージしました。〈俺ら〉という複数形の一人称もあり、バンドもしくはアイドルグループかなと思っています。〈俺らの日々〉という言い回しは別に特別なものではないはずなのに、自然と「俺らが〈紡いだ〉」なんだなと思わされて、すごく眩しく感じました。
一首を通してドライブ感が心地よく、また一番山場のワンシーンを切り取ったような鮮烈さがあり、アニメだったらこのシーンで絶対に挿入歌が入るでしょ!OPアレンジとか!と思いました。彼らの物語の一端に触れさせてもらっただけなのに、その一端が〈日々〉の結晶なんだと思わされて感極まってしまう一首でした。──Dr.ギャップ
●音楽に関係する主体でしょうか。何となく若い男の子たちのバンドを想像しました。
BPM150というと少し速めというイメージがあるのですが、その疾走感と「俺らの日々を映したすべて」という言葉から、若さによる瞬間の強烈な輝きを連想させます。その一曲に今までの日々を全てつぎ込んだのだな、と伝わってくる熱い歌だな、と感じました。──古月もも
【作者コメント】
作品: ヒプノシスマイク
ヒプノシスマイクに登場する山田一郎と波羅夷空却の二人について詠んだ歌です。
(初句にミスを見つけました
…!「紡いだ」→「紡がれた」です!)
この二人はある時期、お互いを「相棒」と認識し合う仲であり、それは他者から見てもとても素敵な関係性でした。
二人にとって大切なコミュニケーションの一つに「ラップ」があったのでは?と解釈しており、このような歌になりました。
音楽のBPM(楽曲の速さ/テンポ)は落ち着いた曲だと70〜90、少しポップなテンポ感のものは100前後、ヒップホップなどのリズムと共に音楽がどんどんと進むものは140〜180くらいと言われています。
そのため、二人の生活の目まぐるしさと「ラップ」のテンポ感を「BPM150」という表現に落とし込むことにしました。
たまには、BPM80くらいでゆるりと過ごせる時間を過ごせていますようにと願いながら、二人の唯一無二のかけがえのない日々にオタクは勝手にめくばせをしていたいなと思います。──隙間
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