てくてく
青はただ一色だけと言い切る為に手放した君の眼の色
【選評コメント】
●「ただ一色」の至高の青に殉じるために、同じく青い「君の眼の色」を手放す、ということでしょうか。譲れない信念のためとはいえ、大切な人の最も美しい部分を否定するのはつらいことだろうと思います。相手を嫌ってのことではなく、今でも愛惜の念があることが「手放した」という言葉遣いから感じとれます。──ゆの
●「君」と他の「青」、どちらかを選ばなければならず「君」を手放さざるを得なかった
……。本当は「君」を選びたかったことでしょう。薄暗い部屋でぽとりと零れたような、誰も知らない語り手の後悔に胸が痛みました。──おかのきくと
●「青」「青春」がテーマになっている呪術廻戦かな〜〜手放されたのは青色の目の五条悟だしな〜〜と思って唸りました。原作はもちろん分かりませんが、「一色だけと言い切るために」という状況が辛いですね。必ずしもそうではないとわかっていて敢えて
…「言い切り、手放す」の切なさの描写が秀逸です。──四月
●全体では三十一音ですが「言い切るた/めに手放した」と読むのは韻律が難しいので5/7/4/8/7で読みました。内容が入り組んでいるのでうまく掴めているか自信がないのですが、主体にはより大切な”青”があるゆえに、青い眼をしている君を遠ざけねばならなかったということでしょうか。「君」と天秤に掛けざるを得なかったものも恐らく人間かなと想像します。──池田いくら
●読んだ時に景色が浮かぶ時というよりはその感情をひっそり覗いたような感覚で色々と想像が膨らむ歌ですね。「言い切る為に手放した」は近い場所にいた君と袂を分かったのかなと読み、「青」と「君」は同じ位重要だったのだろうと想像します。どちらかを選ばなければいけないという思いの中で例えば「青」に正義や愛を入れることもできると思うのですが、そこが青や君の眼の色が選ばれている所がとても詩的ですし主体が重要であり大切だと感じている所なのだろうと感じました。好きです。──山と森と街
●同じ色でも見る人によっては何種類もあるようですが、あえて一色にするため、手放すことの切なさが伝わってきます。
不要、と切り捨てなければならない辛さが伝わります。
切ないですがとても綺麗な歌です。──海月雪夜
●〈一色だけ〉とされた青は何なのだろう、ということに思いを馳せつつ読みました。君と何かを天秤に乗せて、君のほうを手放した。手の中にないものを手放すことはできないので、〈君〉との関係や距離は決して遠いものではなかったのだろうと思います。それでもと選ばれたものは何だったのか。
また〈青はただ一色だけ〉というのは君がいなかったとしてもなかなか強引な物言いだなと感じるので(空、海、ポカリのラベル、ローソンの看板
……)、自分に言い聞かせているのではという印象を受けました。私にとっての青はこの青でなければならない、だから君を手放す。
君のなかでも〈眼〉にフォーカスがあたっているのは、君の眼も青色だからなのかな、もしくは手放したときに君の眼に浮かんだ感情が忘れられない、それを思い出しているシーンの歌なのかなと思いました。後者だとすれば、青ざめたという語からの連想で君もショックを受けたのかもしれないと想像します。──Dr.ギャップ
●「青」という色から「正しさ」を連想します。この主体は青い目を持つ「君」と価値観を違えてしまったのかな、と想像しました。そして、その自分の持つ価値観(正しさ)を捨てることができなかったのかな、と。
自分の信じる正しさがただ一つ正解である、と言いたくて、「君」を手放さざるを得なかった切なさや痛々しさが伝わってくると感じました。──古月もも
【作者コメント】
呪術廻戦より夏油傑。夏も青もたくさんあるけど、あの夏とあの青は一つだけだし、善や幸せを一つだと言い切ることが彼の強さで弱さなんだろうと思っています
…──てくてく
冥府から見上げた空はただ遠くただ遠い空でみんな光って
【選評コメント】
★イデアの歌として読みました。「ただ遠くただ遠い」と繰り返しているところが、彼の諦めと憧れが感じられてとても好きでした。感傷的すぎず、それでもきゅっ
…と切なくなるような言葉遣いが素敵です。
自身の生まれを理解し、受け入れながら、それでもなお憧れてやまない、遠くの「ふつう」の世界
…その世界が彼にとっては楽しそうで、眩しくて。でも恨めしいわけではなく、ただただ「ああ、いいな」と呟くような。そんなほんの少しの切なさが感じられて、とても好きでした。──有
●冥府という暗い場所と現世の光(明るさ)の対比が素敵でした。現世への祈りも感じる素敵な歌です。──海月雪夜
●語り手は「冥府」に閉じ込められている。この「冥府」は物理的なしがらみか、心理的なしがらみか。あるいはどちかもなのか。きらびやかな地上をぼんやりと眺めているような語り手のやるせなさが伝わってくる歌です。──おかのきくと
●ツイステッドワンダーランドのイデア・シュラウドをイメージしました。
死の世界というと私たちはつい天国、上をイメージしますが、冥府にいる主体が「ただ遠く」とリフレインしながら「みんな光って」と下から見上げているのが、先入観と違ってハッとしましたし、光って見えるということは自分は暗い場所にいるということで、孤独を感じました。本来は上に行けるはずだったのに、訳あって地獄、冥府、地下に行くことになってしまったのか
…と、想像が膨らみますね。──四月
●遠く見上げた空はハレーションを起こして白く光っている。それほどに深いところに主体はいるのだという描写がきれいで切なくなります。手の届かない「みんな」はあまりに遠く、光という抽象的な概念になってしまっており、主体はただまぶしく見上げることしかできない。そんな孤独が伝わりました。──ゆの
●空で光るものは基本的には星々やそれに類するものだと思うのですが、結句の「みんな」、星になってしまった人の暗示と読めるなと思った。「空はただ遠くただ遠い空」の準リフレインの構造からは、特定の人間への強い感情というよりは、漠然とした諦めのようなものを感じた。死者が行くところに主体はもういるのに(いるから?)いなくなってしまった人とは埋まらない隔たりがあるとか切なすぎる。──池田いくら
●〈冥府〉と〈空〉、“私”と〈みんな〉の間に横たわる遠さが印象的で切なく感じました。〈空はただ遠く〉〈ただ遠い空〉の繰り返しが印象的で、「遠く離れているからこそいっそう光って“私”には感じられるのでは」と想像して胸が詰まります。
〈冥府〉の語がありますが、「死んだ“私”と生きている〈みんな〉」というよりは「先に死んだ“私”と、今は生きていて死後も天国へ行くだろう〈みんな〉」というイメージで読みました。この〈みんな〉は(少なくとも“私”のイメージの中では)死後も冥府で合流することはなさそうだな、という感じがします。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
twisted wonderlandよりイデア・シュラウド。自分自身を地の底におく彼もちゃんと光っています。そして彼にとってはただ遠いだけで、伸ばせば届く空。──てくてく
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