じゃしんちゃん
ボタニカよ 我らと共に道歩め 妹よ永遠なれ 朋友よ永遠なれ
【選評コメント】
★語感が素敵で思わず声に出して読みました。下の句が対になっているところが読んでいて心地良かったです。
植物に生涯を捧げた人々の生き様が伝わってくる素敵な歌です。──海月雪夜
●下の句の韻の踏み方が読んでいて心地よいです。作中主体は牧野富太郎でしょうか(違ったらごめんなさい)。──月ノ華
●23年前期朝ドラ「らんまん」を思い起こしながら読みました。主人公が長い年月をかけて完成させた植物図鑑は、植物の姿を永久に留めるとともに、関わったたくさんの人々、盟友たち、そして最愛の妻の存在を永久にしました。図鑑は人の寿命を越えてこの先、百年、二百年たった未来でも人類と共にあり、生きる道しるべになってくれると思います。──ゆの
●下の句の踏み方が最強です。「ボタニカ」がリズミカルにそよいでいる情景を受けました。愛した人や友人と一緒にいたいと願うのは、未来への願いか、過去への惜別なのか。白いキャンバスのような可能性を感じました。──おかのきくと
●ボタニカとは植物の意味らしいですが、人名かもしれませんし、なんらかの概念かもしれませんね。下の句のリフレインや文語が力強く、主体の祈るような強い願いを感じます。──四月
●永遠(とわ)なれ 朋友(とも)よ永遠(とわ)なれ
初句、「ボタニカ」なるものへの呼びかけかと思うのですが、検索でそれらしきものに辿り着けず。植物や学術書のタイトルが出てきたのですが決め手にかけるかなと
……。下の句の古典的な響きは校歌っぽさがあるなと思いました。──池田いくら
●〈ボタニカ〉=botanicaはイタリア語で「植物学」のこと。〈よ〉と呼びかける対象が「植物」ではなく「植物学」であることや、また「植物学=道」ではなく、道行きの共として〈ボタニカ〉へ呼びかけていることから、植物学という学問領域への敬愛や信頼のようなものを感じました。学生ではなく研究者として”私”を想像します。
下の句のリフレインのリズムが心地よく、かつ植物のツルが伸びてゆくイメージや〈永遠〉のイメージと響き合ってうっとりしてしまいます。また〈永遠〉については不老不死というよりも「妹や朋友のいるこの世界が健全に続いていきますように」という印象があるのですが、これも植物のイメージから来ている印象かなと思いました。〈道歩め〉を含め、まっすぐ健やかな成長や前進と、そこに対する素直な希求が込められた一首と受け取りました。力強く大らかな雰囲気が素敵です。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
NHK朝ドラの『らんまん』の最終週を元に詠んだ歌です。
前半に出てくる「ボタニカ」という言葉はイタリア語で植物・植物学を意味する言葉で、道はこれからずっと永遠に続く主人公のモデルになった牧野富太郎先生の功績を道に喩えてみました。
後半の「妹(いも)」は妻の寿恵子さん、「朋友(とも)」は主人公の恩師や主人公と共に植物学を学び、日本の植物学に貢献した朋友たち、それから後の世の植物学を学ぶ人達皆の情熱が永遠に絶えることがないように。という主人公の万太郎くんの想いを交えながら詠みました。──じゃしんちゃん
しぬほどね すきだよ とても すき スキ 好き 言うこときく子は ご褒美あげちゃう♡
【選評コメント】
★ひらがなとカタカナと漢字が混在しているところに作中主体のドロドロとした溢れて止まらない重い想いを感じます。三十一音で、しかもストレートな言い回しでここまでの重さを表現した作者のセンスに脱帽です。──月ノ華
●読み進めるほどに圧があり、表記も「すき、スキ、好き」と色んなバージョンがあるのが四方八方を、全体で塞がれていく感じがしてとっても怖くなりました。「しぬほどね」と「言うこときく子は」の一方的な感じがまたキャラクターの求めるもの以外いらないという雰囲気を想像できます。好きの後にある隠れていない暴力性と芯のようなものを感じ、どの原作のどのキャラクターなのかとても気になる歌でした。(こちらの原作ではないと思いますが音楽で戸川純「好き好き大好き」を思い浮かべました。「好き」圧力は近い気がしました)──山と森と街
●どストレートで好きです。素直な言葉ゆえに、語り手の狂気的な偏愛、執着がどろどろと伝わってくる
……。もちろんいい意味でおどろおどろしい歌だと感じました。最後のハートマークが最強に猟奇的です。ホラーです。──おかのきくと
●とても印象に残った短歌です。三句以降が字余りになるので音の響きがテンポアップされてゆき、主体の興奮が伝わってくるようでした。「すき、スキ、好き」がどんどん愛が重くなっていく感じがして、表現の塩梅が秀逸だなと思いました。怖さと可愛さに惹かれます。──四月
●全ての短歌を通して見た時に一番はじめに目につき、「なんだ!?!これは誰のことを詠んだ短歌だ!?!」と衝撃が走りました!
キャラの「粘着さ」がこの短い短歌の中に凝縮されていて、目が離せなかったです。──隙間
●ポップな言葉遣いながら、主体のサディスティックな一面がにじみ出ていてちょっと怖い歌です。読み進めるにつれ漢字が増えていくところが、猫なで声の笑顔から声のトーンが変化していく様子を表しているように感じました。甘い毒のような愛情、という印象。言うことを聞かない子はどうなるか考えるとより怖いです。──ゆの
●音楽の方の歌の歌詞みたいだなと思いました。テンションが振り切れている主体像で、上の句は懇願のニュアンスのような気がするんですが、下の句には主体が相手をコントロールできるという示唆があるように感じられます。地雷系アイドル
……?とかでしょうか?──池田いくら
●詠草一覧を見た時に(来たわね
……!)と反射的に思った歌でした。一次創作として見た時と二次創作として見た時の印象が大きく変わる=原作の癖が強く出ていそうだなあというところで、この歌会ならではだなとワクワクした歌です。
可愛さとそこはかとない狂気のバランスが絶妙で、特に〈しぬほど〉から切り出しているところ(ただしひらがな表記のため使われている言葉ほど印象はきつくない)、あくまで〈言うこときく子は〉が対象であるところに、感情的な部分と計算の働く部分を垣間見た気持ちになりました。どんなあなたでも〈すき スキ 好き〉なのではなく、言うことを聞いてくれる私にとっての良い子であれば、という当たり前といえばそうで、極端と言えば極端な態度。〈言うこときく子〉ではない相手への態度が非常に気になります。──Dr.ギャップ
【作者コメント】
こんにちは。じゃしんちゃんです。
『BLEACH』のジジことジゼル・ジュエルくんというおとこの娘を題材に詠んでみました。
この子は対象をゾンビ化して操るネクロマンサー能力を持っていて、作中で味方のリーダー格の女の子をゾンビ化して使役する場面があり、その場面と彼のポエム要素を入れつつ、リーダー格の女の子に対するジジちゃんの想いをポップでかわいらしい女の子のような口調で表現してみました。──じゃしんちゃん
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.